「ストーマは生き延びた勲章」—オストメイトへの理解と私たちが知っておきたいこと

皆さま、
こんにちは。 JR明石駅より徒歩5分、明石やまだ内科歯科クリニック院長の山田恭孝です。
皆さまは「オストメイト」という言葉をご存じでしょうか。 病気や事故などにより手術を受け、お腹に「ストーマ(人工肛門・人工膀胱)」という排せつの出口を作って生活されている方の総称です。
現在、日本国内には20万人以上のオストメイトがいらっしゃいますが、外見からは分かりにくいため、その暮らしぶりや直面しているお悩みは一般にはあまり広く知られていません。
今回は、オストメイトの方々が送る日常生活の実態や、私たちが日常で知っておきたい正しい知識と配慮について詳しく解説します。
■1.ストーマ(人工肛門・膀胱)とは?

病気(大腸がんや直腸がん、炎症性腸疾患など)や事故により、直腸や膀胱の機能を失った場合、腸や尿管をお腹の表面に引き出して新しい排せつの出口を作る手術を行います。これが「ストーマ」です。
- ストーマの仕組み: ストーマ自体は粘膜(お口の中と同じような組織)でできており、痛みを感じる神経がないため触っても痛くありません。また、自分の意思で排せつをコントロール(便意や我慢)することができないため、腹部に「ストーマ装具(パウチ)」を貼り付けて便や尿を受け止めます。
- 装具の役割: 専用の装具にはしっかりとした防臭・防水効果があり、適切に装着されていれば、日常生活や外出、さらには入浴の際ににおいが漏れたり外れたりする心配はありません。
■2,オストメイトの日常生活と「知ってほしいこと」

オストメイトの方は、適切な装具管理を行うことで、手術前と変わらない社会生活や仕事、スポーツなどを楽しまれています。しかし、外見からは分からないからこそ、以下のような場面で周囲の理解不足による困りごとを抱えることがあります。
① 公衆浴場や温泉への入浴について
「ストーマをつけたままお風呂や温泉に入っても大丈夫なの?」と心配される方もいらっしゃるかもしれませんが、装具をつけたまま湯船につかっても問題ありません。 実際に入浴する際は、「事前に装具内の排せつ物を捨てる」「浴室や浴槽では絶対に装具を外さない」といったマナーやルールをしっかり守って利用されています。しかし、施設側の理解不足や他の利用客からの誤解・偏見によって、入浴を断られてしまう事例が今なお存在するのが現実です。
② 多機能トイレ(オストメイト対応トイレ)の利用

駅や商業施設にある多機能トイレには、汚物の処理や装具の交換ができる設備(洗浄水栓や流し台、汚物入れなど)が整えられています。 しかし、「なぜ普通のトイレではなくそこを使うのか」と心なき視線を向けられたり、混雑時に白い目で見られたりして、当事者が肩身の狭い思いをすることがあります。オストメイトの方にとって、このトイレは衛生的な管理を維持するために不可欠な場所です。
■3. 私たちが大切にしたい「心のバリアフリー」
ストーマについて発信している医師のエマ・大辻・ピックルスさんは、ご自身の経験から「ストーマは生き延びた勲章」と力強く語っています。病気や試練を乗り越えて懸命に生きる方々が、周囲の偏見や無自覚な言動によって傷つくことがあってはなりません。
障害や事情は外見からは見えません。「誰もが何かしらの事情を抱えて生きているかもしれない」と想像し、オストメイトマークやヘルプマークの意味を知ること。そして、多機能トイレを必要としている方がいるときに温かい目で受け入れること。そうした「心のバリアフリー」を広げていくことが、誰もが暮らしやすい社会につながります。
■4.よくあるご質問(Q&A)

Q1. ストーマをつけていても、温泉や大衆浴場に入れますか?
A1. はい、入れます。ストーマ装具は耐水性・耐熱性に優れており、適切に装着されていればお湯が中に入ったり汚したりすることはありません。マナーとして事前に排せつ物を処理していれば、衛生上の問題もありません。
Q2. オストメイト対応トイレは、一般の人は使ってはいけないのですか?
A2. 多機能トイレと兼用になっていることが多いため利用自体が制限されるわけではありませんが、オストメイトの方が装具の交換やパウチの洗浄で緊急かつ必要としている場合があります。混雑時には設備を必要とする方が優先されるような配慮が大切です。
Q3. 大腸がんなどの病気を早期発見するにはどうすればいいですか?
A3. 大腸がんは初期には自覚症状がほとんどありません。40歳以上の方や、健診の便潜血検査で陽性を指摘された方は、放置せずに「大腸内視鏡検査(大腸カメラ)」を受けることが、早期発見・早期治療の最も確実な方法です。
Q4. ストーマの装具はどこで購入するのですか?
A4. 医療保険は適用されませんが、永久的なストーマを作られた場合は「身体障害者手帳」の交付を受けることで、公的な装具給付制度(日常生活用具の支給)を利用することができます。購入は専用の代理店で行います。
Q5. 消化器の健康を守るために、お口のケア(歯周病予防)も関係がありますか?
A5. はい、深く関係しています。しっかりと噛んで美味しく食事をとることは、消化器全体の健康や栄養状態の維持の基本です。また、お口の健康を保つことは全身の免疫力を支えることにもつながります。
■ 「事情を抱えて生きる人」に寄り添える社会へ

病気や手術を乗り越えて前向きに生きるオストメイトの方々の姿は、私たちに命の尊さと健康のありがたみを教えてくれます。医療に携わる者としても、病気の治療や予防に全力を尽くすとともに、こうした社会的な理解の輪を広げていくことの大切さを強く感じています。
当院では、生活習慣病の予防や精度の高い内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)を通じて、消化器の健康をトータルでサポートしております。また、「内科・歯科併設」の強みを生かし、全身の健康からお口のケアまで温かく寄り添います。
「お腹の健康について相談したい」「健診結果が気になる」という方は、どうぞお気軽にJR明石駅より徒歩5分の明石やまだ内科歯科クリニックへご相談ください。皆さまの健やかな毎日と笑顔を、私たちが全力でお守りいたします。