【医師が解説】eGFR(腎臓のろ過機能)の基準値とは?慢性腎臓病(CKD)の早期発見と対策

ブログをご覧いただき、ありがとうございます。 JR明石駅南口より徒歩5分、明石やまだ内科歯科クリニック院長の山田恭孝です。
健康診断の血液検査で「eGFR」という項目を見たことはありませんか?これは腎臓の「ろ過機能」を数値化した重要な指標です。 腎臓の機能が低下しても初期は自覚症状がなく、気づかないまま病気が進行してしまうことが少なくありません。今回は、将来の腎臓を守るために知っておくべきeGFRの見方と、慢性腎臓病(CKD)の早期発見・対策について解説します。
■ eGFRとは何を測る指標か

eGFR(推算糸球体ろ過量)は、腎臓が1分間にどれだけの血液をろ過できるかを示す指標です。血液検査の「血清クレアチニン値」と、年齢・性別から推算します。 腎臓内には「糸球体」という毛細血管の塊が約100万個あり、そこで血液中の老廃物をろ過して尿をつくっています。
■ 基準値と慢性腎臓病(CKD)のステージ分類

eGFRの数値によるステージ分類は以下の通りです。
- G1 正常: 90以上(蛋白尿があれば要注意)
- G2 軽度低下: 60〜89
- G3a 軽度〜中等度低下: 45〜59(要注意)
- G3b 中等度〜高度低下: 30〜44(受診推奨)
- G4 高度低下: 15〜29(専門医受診)
- G5 末期腎不全: 15未満(透析・移植を検討)
日本のCKD(慢性腎臓病)患者数は約1,300万人と推定されており、eGFRが60未満、または尿蛋白陽性が3ヶ月以上続く場合にCKDと診断されます。
■ eGFRが低下した場合のリスクと原因

eGFRが低下すると、老廃物や余分な水分・塩分が体内に蓄積し、高血圧・貧血・骨粗鬆症のリスクが高まります。さらに進行すると末期腎不全に至る危険性があり、透析治療が必要になってしまいます。また、腎臓病は心臓病の重要なリスク因子でもあり、CKDが進行すると心筋梗塞や脳卒中などの循環器疾患のリスクも2〜3倍に上昇します。
低下する原因として最も多いのは、糖尿病性腎症(透析導入原因の第1位)と高血圧性腎硬化症です。また、肥満環境下ではCKDの発症や重症化リスクが高まることが分かっています。
■ 生活習慣の改善ポイント
【塩分制限とタンパク質の適切な摂取】

塩分の摂り過ぎは腎臓への負担を増やします。1日6g未満を目標にしましょう。 また、タンパク質の代謝産物は腎臓でろ過されるため、腎機能が低下した方は過剰摂取を避ける必要があります。G3以上では1日体重1kgあたり0.6〜0.8gに制限することがあるため、必ず医師にご相談ください。
【血圧・血糖・肥満のコントロール】

高血圧と糖尿病は腎臓病の最大の原因です。毎日の食事では、当院が推奨している「カーボラスト(炭水化物を最後に食べる)」を意識して血糖値の急上昇を防ぐ工夫をしましょう。また、日本肥満学会に所属する医師の指導のもと、適正体重を維持することも大切です。
■ よくあるご質問(Q&A)

Q1:eGFRが60未満でも、すぐに透析にはなりませんか?
A: G3a(45〜59)の段階では、適切な治療と生活習慣の改善で透析を大幅に先延ばしにすることが可能です。透析が必要になるのは、通常G5(eGFR15未満)の末期腎不全の段階です。
Q2:クレアチニン値とeGFRの違いは何ですか?
A: クレアチニンは筋肉の老廃物で、腎臓でろ過されます。eGFRは、そのクレアチニン値に年齢や性別を考慮して計算した「腎機能の推算値」です。筋肉量などの個人差を補正できるため、より正確に腎臓の働きを評価できます。
Q3:病院に行くと、腎臓の検査結果はすぐに分かりますか?
A: はい、分かります。当院には迅速血液検査機が常設されており、血清クレアチニンなどの腎機能や、糖尿病の指標(HbA1c)、脂質などの数値が最短15〜20分程度で判明します。その日のうちに詳しい状態をご説明し、治療方針を立てることが可能です。
Q4:血圧を下げるために、カリウム(野菜や果物)をたくさん摂ったほうが良いですか?
A: 腎機能が正常な方には、カリウムを摂って塩分を排出する「ナトカリ比」の改善が有効です。しかし、CKDなどで腎機能が低下している方は、カリウムをうまく尿として排出できず、不整脈など命に関わる「高カリウム血症」を引き起こす恐れがあります。カリウムを増やす前に必ず医師へご相談ください。
Q5:腎臓を守るために、歯医者でのケアが関係あるというのは本当ですか?
A: はい、大いに関係があります。お口の中の歯周病菌が血管に入り込むと、全身に微細な炎症を引き起こし、腎臓病の原因となる高血圧や糖尿病、動脈硬化を悪化させることが分かっています。当院は「内科・歯科併設クリニック」ですので、内科での腎機能管理と並行して、歯科でお口の環境を整える「医科歯科連携」のトータルサポートが可能です。
■ おわりに:「痛くないから」と放置しないでください

「健康診断でeGFRの数値が少し低いと言われたけれど、特に痛みもだるさもないし、まだ大丈夫だろう」――そうやって日々の忙しさに紛れて見過ごしてしまっていませんか? 冒頭でもお伝えした通り、腎臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、機能がかなり低下するまで自覚症状がほとんど現れません。そのため、気づいたときにはすでに腎不全が進行し、取り返しのつかない状態になってしまっているケースも少なくありません。だからこそ、健康診断で数値の低下や尿蛋白を指摘されたときを「体からの大切な警告」と受け止め、早めに対策を始めることが、将来の透析や心血管病を防ぐための何よりの近道となります。
当院が大切にしている3つの安心サポート
- 専門医による正確な評価ときめ細やかな腎臓管理 当院では、eGFRやクレアチニン値の推移を丁寧に追いながら、患者さま一人ひとりのステージに応じた食事指導(塩分やタンパク質の適切なコントロール)や、高血圧・糖尿病といった根本原因の治療をしっかりとサポートいたします。
- 院内の迅速検査機によるスピーディーな健康チェック 「今の自分の腎機能や血糖・脂質の状態はどうなっているのだろう?」とご不安な方のために、当院では迅速血液検査機を常設しています。血清クレアチニンやHbA1cなどの結果が最短15〜20分で判明するため、受診当日に詳しい状態をご確認いただけます。
- 「内科×歯科」の医科歯科連携による全身の血管・腎臓ケア 腎臓の毛細血管を守るためには、高血圧や糖尿病の管理が欠かせませんが、その背景にはお口の中の「歯周病」が深く関わっていることが分かっています。当院は内科と歯科が同じビル内に併設されているため、内科での腎機能・生活習慣管理と並行して、歯科で「しっかり噛める健康なお口の環境(歯周病治療)」を整えるトータルケアを受けることができます。
「健康診断でeGFRの数値や尿蛋白を指摘された」「自分の腎臓の状態が心配だ」という方は、どうぞ一人で抱え込まずに、お気軽に明石やまだ内科歯科クリニックへご相談ください。スタッフ一同、皆さまの大切な腎臓と健康な毎日を温かくサポートいたします。