ブログ

MCV・MCH(赤血球の大きさ・ヘモグロビン量)で貧血の原因を特定する〜ただの鉄不足ではない可能性〜

皆さま、こんにちは。
JR明石駅より徒歩5分、明石やまだ内科歯科クリニック院長の山田恭孝です。
健康診断で「貧血」と指摘されたとき、ただ「鉄分不足だ」と思い込んでいませんか?実は貧血には様々な原因があり、治療法も全く異なります。その原因を絞り込むための手がかりとなるのが、血液検査項目の「MCV」と「MCH」です。
今回は、これらの数値が教えてくれる貧血の正体について詳しく解説します。

■ 1. MCV・MCHとは何か?

赤血球の「質」を評価する重要な指標です。
・MCV(平均赤血球容積):赤血球1個の「平均的な大きさ(体積)」を示します。
・MCH(平均赤血球ヘモグロビン量):赤血球1個に含まれる「ヘモグロビンの量(濃さ)」を示します。
これらの数値を組み合わせることで、赤血球が「小さくて色が薄い」のか、「無駄に大きい」のかが分かり、「なぜ貧血になっているのか」を的確に特定することができます。

■ 2. 基準値の目安

MCV 基準値:83.6〜98.2 fL(フェムトリットル)

MCH 基準値:27.5〜33.2 pg(ピコグラム)

■ 3. MCV・MCHのパターンでわかる貧血の種類

小球性低色素性貧血(MCV低い・MCH低い)

赤血球が小さく、色も薄い状態です。最も多いのが「鉄欠乏性貧血」です。鉄分の摂取不足のほか、女性であれば月経出血、男女ともに注意が必要なのが胃潰瘍や大腸がんなどの「消化管からの出血」です。さらに遺伝性の血液疾患であるサラセミアなどでもこのパターンになります。

大球性貧血(MCV高い)

赤血球が通常よりも大きくなりすぎている状態です。ビタミンB12や葉酸が不足していることが主な原因です。極端な菜食主義、過去の胃の切除手術、アルコールの多飲などが背景にあることが多く、手足のしびれなどの神経症状を伴うこともあります。

正球性正色素性貧血(MCV・MCHは正常だが、赤血球数が少ない)

赤血球の大きさと濃さは正常ですが、作られる数自体が足りていない状態です。急な出血のほか、腎臓病やリウマチなどの慢性疾患、あるいは骨髄の病気などが疑われます。

■ 4. 生活習慣の改善ポイント

・鉄欠乏(小球性)の場合:レバー、赤身肉、あさりなどの鉄分豊富な食品を積極的に摂取しましょう。ビタミンC(レモンやブロッコリーなど)と一緒に食べることで体内への吸収率が高まります。

・ビタミンB12・葉酸欠乏(大球性)の場合:ビタミンB12は肉や魚、卵などの動物性食品に多く含まれます。葉酸は緑黄色野菜や豆類に豊富です。不足が深刻な場合は、お薬や注射での補充が必要になります。

■ よくあるご質問(Q&A)

Q1:鉄分のサプリと、ビタミンB12のサプリは一緒に飲んでも大丈夫ですか?
A1:基本的に一緒に飲んでいただいて問題ありません。ただし、鉄分は一部の他のミネラル(カルシウムなど)の吸収を邪魔することがあるため、たくさんの種類のサプリメントを併用する場合は、飲む時間を少しずらすことをお勧めします。
Q2:MCVが高いと言われました。お酒の飲み過ぎと関係がありますか?
A2:はい、大いに関係があります。長期間にわたる多量のアルコール摂取は、骨髄への影響や葉酸の吸収不良を引き起こし、赤血球が大きくなる大球性貧血の代表的な原因の一つです。
Q3:MCVやMCHが正常なのに、貧血症状があるのはなぜですか?
A3:慢性的な炎症(リウマチなど)や腎臓の病気が隠れている場合、赤血球の形や質は正常でも、作られる総数が減ってしまう「正球性貧血」が起こります。原因となっている元の病気の治療が必要です。
Q4:貧血の精密検査で胃カメラや大腸カメラを勧められました。必要なのですか?
A4:特に「MCVとMCHが低い(鉄欠乏)」パターンの場合、胃がんや大腸がんからのジワジワとした出血が体内の鉄分を奪っている可能性が非常に高いためです。根本的な原因を見つけるために、内視鏡検査は不可欠と言えます。
Q5:お口の健康状態は、これらの数値に影響を与えますか?
A5:大きく影響します。MCVやMCHを正常に保つためには、お肉などの鉄分やビタミンB12を「しっかりと噛み砕いて消化する」ことが大前提です。歯周病や合わない入れ歯で噛む力が落ちていると栄養の吸収が悪くなり、貧血を引き起こす原因になります。

■おわりに:見逃してはいけないサインとトータルケア

血液検査で貧血を指摘された際、「とりあえず市販の鉄分サプリを飲めばいい」と自己判断してしまうのは非常に危険です。今回解説したように、MCVやMCHの数値バランスによっては、ビタミン不足や肝臓の負担、あるいは体に潜む慢性的な病気が原因であるケースも多々あります。特に、鉄不足を示すパターンだった場合、その裏には胃がんや大腸がんといった命に関わる「見えない出血」が潜んでいる可能性を常に疑わなければなりません。
「内科の検査や内視鏡は少しハードルが高そう……」と思われるかもしれませんが、当院では患者さまが安心して第一歩を踏み出せるよう、以下の「3つの安心サポート」を大切にしています。

当院が大切にしている2つの安心サポート

1. 専門医による正確な評価と苦痛の少ない内視鏡検査

当院では、単にお薬を処方して終わりではなく、「なぜ貧血になったのか」という根本的な原因を徹底的に調べます。消化管出血が疑われる場合には、鎮静剤を使用してウトウトとリラックスした状態で受けられる「苦痛の少ない胃カメラ・大腸カメラ」を実施し、患者様の不安を取り除きながら確実な診断と早期治療へとつなげています。ポリープが発見された場合には、その場での日帰り切除も可能です。

2. 「内科×歯科」の医科歯科連携によるトータルケア

貧血を食事で根本から改善していくためには、栄養素をしっかりと取り込める「健康なお口の環境」が欠かせません。当院は内科と歯科を併設しており、消化器内科での専門的な血液・内視鏡検査と並行して、歯科で「しっかりとお肉やお魚を噛める歯」を作るための治療やメンテナンスを行うことができます。この医科と歯科の連携によって、お口という入り口から胃腸、そして血液の健康までをトータルでサポートいたします。

なかなか改善しない貧血や、健康診断の細かな数値で気になることがあれば、決してひとりで抱え込まず、JR明石駅南口より徒歩5分の明石やまだ内科歯科クリニックへお気軽にご相談ください。専門医による的確な診断で、皆さまの大切な健康と安心を全力でお守りいたします。

 

明石やまだ内科歯科クリニック