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【日本消化器病学会 消化器病専門医・指導医】6月は食中毒が年間最多!梅雨に急増する原因と家庭でできる予防3原則

皆さま、こんにちは。

明石駅から徒歩5分の「明石やまだ内科歯科クリニック」院長の山田恭孝です。

気温と湿度が上がりじめじめとする6月は、実は1年の中で最も食中毒の発生件数が多い月です。

今回は、梅雨から夏にかけて急増する食中毒の原因や、ご家庭でできる「予防3原則」、そして傷みやすいお弁当作りの注意点について詳しく解説します。

梅雨どきに食中毒が急増する理由

食中毒を引き起こす細菌の多くは、室温(約20℃)で活発に増殖を始めます。

さらに、人間の体温に近い30〜40℃になると、増殖のスピードが最も速くなります。

そのため、湿度や気温が高くなる梅雨の時期は細菌にとって絶好の環境となり、細菌性の食中毒リスクが急増するのです。

冬場はノロウイルスなどのウイルス性が中心ですが、6月以降の夏場は細菌による食中毒に警戒が必要です。

特に注意すべき食中毒の原因菌と寄生虫

過去の統計でも、梅雨から夏場にかけては以下の細菌や寄生虫による事故が多く報告されています。

カンピロバクター

    • 鶏肉の刺身や加熱不足の肉などに存在し、少量の菌でも発症します。
    • 市販の国産鶏肉の5〜7割が汚染されているという報告もあります。
    • 10℃以下の低温でも長く生存するため注意が必要です。

黄色ブドウ球菌

    • 人の鼻やのど、手指の傷口などに生息し、おにぎりや弁当などを介して感染します。
    • 食品中で大量に増殖する際に、食中毒の原因となる毒素を作り出します。
    • 菌自体は熱に弱いですが、この毒素は熱に強く、100℃で20分加熱しても分解されません。

ウエルシュ菌

    • カレーやシチューなど、大鍋で大量に調理して作り置きされた食品でよく発生し、「給食病」とも呼ばれます。
    • 酸素のない状態で増殖し、100℃の加熱に耐える「芽胞」を作る性質があるため、通常の加熱調理では死滅しません。

腸管出血性大腸菌(O157など)

    • 生肉などに含まれ、少量の菌でも出血性の大腸炎など重篤な症状を引き起こします。

 

アニサキス(寄生虫)

    • サバやアジ、サケなどの生魚に寄生し、生きたまま体内に入ると激しい胃痛や嘔吐を引き起こします。
    • -20℃で24時間以上冷凍するか、中心温度60℃で1分以上加熱すると死滅します。

ご家庭で守るべき「予防の3原則」

細菌性食中毒を防ぐためには、「つけない」「ふやさない」「やっつける」の3原則が基本です。

1.清潔にして、菌を「つけない」

  • 調理前や生肉・生魚を触った後は、石鹸で指の間や爪の中までしっかり洗いましょう。
  • まな板や包丁は食材ごとに使い分けるか、熱湯や漂白剤でその都度消毒して清潔に保つことが大切です。
  • 残った食品を保存する際は、ラップや密閉容器を使い、他の食品から菌が移らないようにします。

2.迅速・冷却で、菌を「ふやさない」

  • 細菌の多くは10℃以下で増殖が遅くなり、-15℃以下で増殖が停止します。
  • 生鮮食品や惣菜を買ったらすぐに冷蔵庫に入れ、作った料理は室温(20〜50℃)に長く置かず、早めに食べきりましょう。

3.加熱・殺菌で、菌を「やっつける」

  • ほとんどの食中毒菌は熱に弱いため、食材の中心部を75℃で1分以上しっかりと加熱することが有効です。
  • 温め直す際も、電子レンジなどでムラなく均一に熱を通すようにしましょう。

夏場のお弁当作りのポイント

室温で保存することが多いお弁当は、普段以上の注意が必要です。

  • 暖かい季節は、前日の作り置きをそのままお弁当に入れるのは避けましょう。
  • おかずやご飯は、しっかり冷ましてからお弁当箱に詰めるのが鉄則です。
  • 生野菜は入れず、かまぼこやハムなどの加工食品にも必ず火を通してください。
  • 梅干し、お酢、しょうがなど抗菌効果のある食材を活用し、汁気を出さないよう濃いめの味付けにするのも効果的です。
  • おにぎりは素手で握らず、必ずラップを使いましょう。

食中毒に関するよくあるご質問(FAQ)

Q:黄色ブドウ球菌は、食べる前にしっかり加熱すれば安全ですか?

A:いいえ、菌自体は熱に弱くても、菌が作り出した「毒素」は熱に強く、100℃で加熱しても破壊されません。そのため、調理の段階で手に傷がある場合は使い捨て手袋をするなど、まずは菌を「つけない」ことが最重要です。

Q:カレーを一晩コンロに置いたままにしてしまいました。温め直せば食べられますか?

A:ウエルシュ菌が繁殖している危険性があります。この菌は熱に強い芽胞を作るため、再加熱しても死滅しません。少しでも怪しいと思った食べ物は、思い切って処分しましょう。

Q:食品を冷凍保存しておけば、食中毒菌は死滅しますか?

A:いいえ、細菌は冷凍庫の温度(マイナス15℃以下)では増殖が一時的に停止するだけで、死滅するわけではありません。室温に戻して解凍すると再び増殖を始めるため、解凍後は放置せずすぐに調理し、中心部までしっかり加熱することが大切です。なお、寄生虫であるアニサキスはマイナス20℃で24時間以上冷凍することで死滅します。

Q:食中毒の症状は、食べてからどのくらいで出ますか?

A:原因となる細菌や寄生虫によって大きく異なります。黄色ブドウ球菌のように食後30分から数時間と早く症状が出るものもあれば、カンピロバクターのように数日から1週間ほど経ってから発症するものもあります。必ずしも直前に食べたものが原因とは限らないため、受診の際は数日前の食事内容も思い返して医師にお伝えください。

Q:残り物を電子レンジで温め直せば、食中毒は完全に防げますか?

A:電子レンジは便利ですが、食品の温度に「加熱ムラ」ができやすい点に注意が必要です。表面は熱くても中が冷たいままだと、そこで菌が生き残ってしまう可能性があります。途中で一度取り出して全体をかき混ぜたり、食品の向きを変えたりして、中心部まで均一に熱が通るように工夫してください。

お腹の不調を感じたら当院へ

激しい腹痛や下痢、嘔吐などが生じた際は、自己判断で放置せず、速やかに医療機関を受診してください。

夏場の急な体調不良や食中毒の疑いでお困りの方は、明石やまだ内科歯科クリニックへお気軽にご相談ください。適切な医学的管理で、皆様の早期回復をしっかりとサポートいたします。

 

明石やまだ内科歯科クリニック