膵臓の病気について

PANCREATIC-DISEASE

このような症状はありませんか?

膵臓の病気は初期段階では症状が現れにくいため、以下のような症状に心当たりがある方は、早めの受診をおすすめします。

  • だるい・倦怠感がある
  • すぐに疲れて横にならないとつらい
  • 持続的な上腹痛を繰り返す
  • 食後や飲酒後に強い腹痛・吐き気が続く
  • 最近急に体重が減った、食欲が低下した
  • 便が白っぽく油っぽい
  • 尿が濃い茶色になり、皮膚や白目が黄色くなる
  • 背中やみぞおちの鈍い痛みが長期間続く
  • 血糖値が急に高くなった、糖尿病と診断された
  • お腹の膨満感や消化不良が慢性的にある
  • 右肩から背中にかけてのかすかな痛みが取れない
  • 夜間や空腹時にも痛みで目が覚める

これらの症状は、膵臓の消化酵素分泌不足や血糖調整機能の異常、腫瘍による圧迫などが原因で起こっている可能性があります。

特に、みぞおちから左上腹部の痛みや背部痛は膵臓疾患の代表的な症状で、食後に悪化し前かがみで楽になる特徴があります。脂肪の消化不良による下痢や体重減少、インスリン分泌異常による血糖値の乱れなども重要なサインです。

ほかの病気でも見られる症状ですが、複数当てはまる場合や症状が続く場合は、膵臓の精密検査を受けることが大切です。

膵臓の機能

膵臓の機能

膵臓は胃の後ろ側にある長さ15〜20cmほどの臓器で、私たちの生命維持に欠かせない大切な働きをしています。
1つは消化を助ける働きです。膵臓は食べ物を分解する消化酵素(アミラーゼ、リパーゼ、トリプシンなど)を含む膵液を作り、1日約1.5リットルの消化酵素を十二指腸に分泌します。この膵液がなければ、食事から栄養を吸収することができません。
2つ目は血糖値を調整する働きです。血糖値を下げるインスリンと上げるグルカゴンというホルモンを分泌し、血糖値を一定に保っています。

膵臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、腹部の奥深くにあり痛覚神経が少ないため、病気になっても初期は自覚症状が出にくいという特徴があります。

機能の一部が失われても残りが補うため、症状が現れるのは病気がかなり進行してからになることが多く、定期的な検査による早期発見が重要です。

主な膵臓の病気

急性膵炎

膵臓が作る消化酵素によって膵臓自体が消化されてしまう病気です。主な原因はアルコールの過剰摂取と胆石で、これらが全体の約70%を占めます。

突然の激しい上腹部痛で発症し、背中に抜けるような痛みが特徴的です。軽症では数日の絶食と点滴で改善しますが、重症化すると膵臓が壊死し、多臓器不全を引き起こす危険があります。

慢性膵炎

膵臓の炎症が長期間続くことで、正常な膵臓の組織が線維化してしまう病気です。長期間のアルコール摂取が原因で、膵臓の機能が徐々に失われていきます。

腹痛を繰り返し、進行すると消化不良による下痢や体重減少、糖尿病を発症します。一度線維化した膵臓は元に戻らないため、早期の診断と治療が重要です。

膵がん

膵臓にできる悪性腫瘍で、早期発見が難しいとされています。初期にはほとんど症状がなく、黄疸や背部痛、体重減少などの症状が現れたときには、既に進行していることが多いのが特徴です。

危険因子として、喫煙、糖尿病、慢性膵炎、家族歴などが知られています。

膵のう胞性疾患

膵臓に液体の入った袋(のう胞)ができる病気の総称です。多くは無症状で偶然発見されますが、一部は将来がん化する可能性があるため、定期的な経過観察が必要です。

IPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)やMCN(粘液性のう胞腫瘍)などが代表される疾患で、大きさや形態によって治療方針が異なります。

膵臓疾患の検査

膵臓疾患の診断には、血液検査から画像検査まで、複数の検査を組み合わせて総合的に判断することが重要です。当クリニックでは、患者さまの症状や状態に応じて、必要最小限の検査で診断を行います。

血液検査

血液検査

血液検査で膵臓の状態を確認することができます。アミラーゼとリパーゼは膵臓から分泌される消化酵素で、膵炎などで膵臓が障害を受けると血液中に漏れ出して数値が上昇します。特にリパーゼは膵臓特異性が高く、急性膵炎の診断に有用です。
膵がんでは、CEA、CA19-9、APOA2(アポリポ蛋白A2)といった、腫瘍マーカーが上昇することが知られています。ただし、良性の膵臓疾患や胆道疾患でも上昇することがあるため、ほかの検査と組み合わせて判断します。血糖値やHbA1cを測定し、膵臓の内分泌機能も評価します。

腹部エコーと内視鏡超音波(EUS)

腹部エコーと内視鏡超音波(EUS)

経腹エコーは、お腹の外から超音波を当てて膵臓を観察する検査です。痛みがなく、繰り返し行える利点がありますが、膵臓は深部にあり、胃や腸のガスの影響を受けやすいため、観察が困難な場合があります。
一方、内視鏡超音波(EUS)は、胃カメラの先端に超音波装置がついた特殊な内視鏡を使用し、胃や十二指腸から膵臓を間近で観察する検査です。ガスの影響を受けず、膵臓全体を詳細に観察でき、2cm以下の小さな腫瘍も発見可能です。【20mm以下の小膵癌に対する感度はCTで10-67%, MRIで33%, EUSで90-100%との報告もあります。】

造影CT検査

造影CT検査

造影剤を使用したCT検査は、膵臓の形態や周囲臓器との関係を詳細に観察できる検査です。急性膵炎では、膵臓の腫れや周囲の炎症、壊死の範囲を評価し、重症度判定に用います。慢性膵炎では、膵臓の萎縮や石灰化、膵管の拡張などを確認します。
膵がんの診断では、腫瘍の大きさ、位置、周囲血管への浸潤、リンパ節転移の有無などを評価し、手術可能かどうかの判断材料となります。
当院ではCTやMRI検査が必要な場合は、連携病院とに検査依頼の協力をして、適切な診断を行うようにしています。

MRI検査・MRCP

MRI検査・MRCP

MRI検査は放射線を使用せず、磁気を利用して体内を画像化する検査です。特にMRCP(磁気共鳴胆管膵管撮影)は、造影剤を使わずに膵管や胆管を鮮明に描出できるため、膵管の狭窄や拡張、膵のう胞性疾患の診断に優れています。
膵がんによる膵管の途絶や、慢性膵炎による膵管の不整な拡張、IPMNの膵管との交通などを詳細に評価できます。
当院ではCTやMRI検査が必要な場合は、連携病院とに検査依頼の協力をして、適切な診断を行うようにしています。

膵臓疾患の治療

膵臓疾患の治療は、病気の種類や進行度によって大きく異なります。ここでは主な治療法の概要をご説明します。

急性膵炎

膵臓を休ませるため絶食とし、点滴による全身管理を行います。痛みに対する鎮痛薬や感染予防の抗生剤を投与し、一般的には数日から1週間程度で改善します。

ただし、重症例では集中治療室での管理や、壊死部分に対する外科的治療が必要になることもあります。

慢性膵炎

原因となる飲酒をやめることが大切です。痛みに対する鎮痛薬の投与、不足した消化酵素を補う消化酵素補充療法を行います。

膵管の狭窄がある場合は内視鏡でステントを留置することもあり、これらの治療で改善しない場合は手術が検討されます。

膵がん

腫瘍が切除可能な場合は手術が第一選択となります。手術ができない場合や、手術前後の補助療法として抗がん剤による化学療法を行い、場合によっては放射線療法を併用します。

進行例では痛みの緩和やQOL(生活の質)向上を目指す緩和ケアが行われることもあります。

膵のう胞性疾患

良性が疑われる小さなものは定期的な画像検査で経過観察します。悪性が疑われる場合や、大きさが増大傾向にある場合、症状がある場合は手術による切除を検討されます。

膵臓の病気が気になる方はご相談ください

膵臓の病気が気になる方はご相談ください

膵臓は早期発見が難しい臓器だからこそ、専門的な診療体制と検査機器、そして経験豊富な医師による診断が大切です。
当クリニックでは、膵臓疾患の早期発見から治療まで、患者さま一人ひとりに寄り添った診療を提供しています。

超音波内視鏡(EUS)で小さな腫瘍も見逃さない

当クリニックでは、超音波内視鏡(EUS)を導入しており、従来の検査では発見困難な1cm以下の微小膵がんの発見に力を入れています。

EUSは膵臓に近い胃や十二指腸から直接観察するため、通常のCTやMRIでは描出困難な小病変も鮮明に描出できます。

超音波内視鏡検査は、日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医・指導医が担当し、安全性に配慮した精度の高い検査を実施しています。

日本膵臓学会 認定指導医による診療

日本膵臓学会 認定指導医が、ガイドラインに基づいた膵臓疾患の診療を提供しています。膵臓疾患は診断・治療が複雑で、専門的な知識と経験が求められる分野です。

当クリニックの指導医は、大学病院での豊富な診療経験を活かして、日々、膵臓疾患の患者さまと向き合っております。定期的に学会や研究会に参加して、常に新しい知見を学び、診療に反映させるよう心がけております。

ご家族に膵臓の病気にかかったことがある方や、気になる症状がある方は、ぜひ一度、ご相談ください。