【日本膵臓学会認定指導医が解説】NHKで話題!すい臓がんは「超早期発見」で生存率80%に─当院のEUS検査が果たす役割

ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
JR明石駅より徒歩5分、明石やまだ内科歯科クリニック院長の山田恭孝です。
先日、NHKにて「すい臓がん対策のトリセツ」(7月16日・木曜 総合 19:30〜20:15)が放送され、多くの方がすい臓がんの早期発見に関心を持たれたのではないでしょうか。 実は、すい臓がんは私が最も力を入れて取り組んでいるテーマの一つです。今回は、番組の内容を振り返りながら、当院で実施している超音波内視鏡(EUS)がなぜ「超早期発見」に有効なのかを、日本膵臓学会認定指導医の立場から解説します。
■ なぜ、すい臓がんはここまで怖いのか

すい臓がんの5年生存率は約11%と、すべてのがんの中で最も低い水準にあります。近年は高齢化などの影響で死亡者数が増加し、がんによる死因の第3位(胃がんを抜いて)になってしまいました。
これほど死亡率が高い理由はシンプルです。症状が出にくく、気づいたときにはすでに進行していることがほとんどだからです。すい臓は体の深部にあり、腹痛・黄疸・体重減少などの症状が現れる頃には、転移が起きているケースが多いのです。 しかし、NHKの番組でも紹介されたように、1cm以下の超早期の段階で発見できれば、5年生存率は約80%にまで跳ね上がります。つまり、すい臓がんは「見つけ方」次第で、まったく違う病気になりうるのです。
■ なぜ、すい臓がんは早期に見つかりにくいのか

一般的ながん検診(血液検査・CT・腹部エコーなど)では、すい臓の小さな病変を見つけることが非常に困難です。CTやMRIは優れた検査ですが、1cm前後の腫瘍を確実に検出するには精度に限界があります。
また、すい臓がんには「特有の症状」がなく、患者様自身が「受診しよう」と気づくきっかけがほとんどありません。だからこそ、NHKの番組でも強調していたように、危険因子を自分で知り、積極的に検査を受けることが命を守る鍵になります。
■ すい臓がんの危険因子をご存知ですか?

番組でも紹介された「すい臓がん危険度チェックシート」の背景にあるのは、以下のような危険因子です。当てはまる項目が多いほど、精密検査を検討される価値があります。
- ●家族歴:血縁者にすい臓がんの方がいる
- ●膵のう胞(すいのうほう):健診や検査で指摘されたことがある
- ●慢性膵炎:以前に診断されたことがある
- ●糖尿病の急激な悪化:血糖コントロールが突然難しくなった
- ●喫煙歴:現在または過去に喫煙していた
- ●多量飲酒:長期にわたるアルコール多飲がある
- ●肥満:BMI 30以上 ・膵管拡張・膵萎縮の指摘:画像検査で指摘されたことがある
上記に心当たりのある方は、ぜひ一度ご相談ください。
■ 「超早期発見」を可能にする検査─超音波内視鏡(EUS)

当院では、すい臓がんの超早期発見に最も有効な検査として、超音波内視鏡(EUS:Endoscopic Ultrasonography)を導入しています。クリニックレベルでこの検査を実施できる施設は非常に少なく、明石市内のクリニックでは当院のみ(兵庫県下でもわずか数件程度)です。
EUSとは、先端に高解像度の超音波装置を搭載した内視鏡です。胃カメラと同様に胃や十二指腸まで挿入し、消化管の内側から直接すい臓や胆道を観察します。体の外から超音波を当てる腹部エコーとは異なり、すい臓のすぐそばから高精度な画像を得られるため、CTやMRIでは見つけられない10mm前後の小さな腫瘍も検出可能です。

当院では1,500件以上のEUSを施行してきた膵臓学会認定指導医が経験をもとに、一人ひとりの患者様に丁寧な検査を提供しています。EUSは習熟に時間がかかる高度な技術が必要な検査であり、どこのクリニックでも受けられるものではありません。
EUSで対象となる主な方
●膵のう胞・慢性膵炎を指摘されたことがある方
●膵疾患の家族歴がある方
●糖尿病が急激に悪化した方
●膵管拡張・膵萎縮・膵石を指摘された方
●黄疸や肝機能障害を指摘された方
■ よくあるご質問(Q&A)

Q1:EUSは痛いですか?
A: 鎮静剤を使用してウトウトと眠っているようなリラックスした状態で検査を行いますので、ほとんどの方は痛みや不快感を感じずに検査を終えられます。胃カメラと同様の感覚とお考えください。
Q2:腹部エコーや腹部CTを受けていれば十分ですか?
A: 腹部エコーやCTは大変有用な検査ですが、すい臓の奥深い部分にある小病変や、10mm前後の早期腫瘍の検出には限界があります。特に「危険因子がある方」や「画像で異常を指摘された方」には、EUSによるさらに精密な検査をお勧めしています。
Q3:すい臓がんは遺伝しますか?
A: すい臓がん患者様の約10%に家族歴があるとされています。1親等(親・子・兄弟姉妹)に2名以上のすい臓がん患者様がいる場合、リスクが上がると言われており、定期的な精密検査が推奨されます。
Q4:受診前に準備することはありますか?
A: まずはお電話またはWEB予約でご予約ください。EUS検査の場合は、当日朝から絶食が必要となります。詳しくは受診時にご説明します。
Q5:すい臓の健康を守るために、歯科でのケアが関係あるというのは本当ですか?
A: はい、大いに関係があります。すい臓の機能が低下すると糖尿病のリスクが高まりますが、糖尿病と「歯周病」はお互いに悪化させ合うことが分かっています。当院は「内科・歯科併設クリニック」ですので、すい臓の精密検査を行うと同時に、歯科検診でお口の炎症(歯周病)を抑え、全身の健康をサポートする「医科歯科連携」のトータルケアが可能です。
■ おわりに

NHKの番組「すい臓がん対策のトリセツ」が多くの方にすい臓がん早期発見の重要性を伝えてくれたことを、日本膵臓学会認定指導医として大変うれしく思います。 「気になるけど、まだ大丈夫だろう」と先延ばしにするのが、すい臓がんで最も危険な行動です。症状がない今こそ、危険因子をチェックし、必要であればEUSによる精密検査を受けてみてください。
当院は明石駅より徒歩5分。消化器内科・膵臓の専門医として、地域の皆さまの「超早期発見」を全力でサポートいたします。