【医師が解説】熱中症対策のつもりが救急搬送?スポドリの「がぶ飲み」が招くペットボトル症候群の恐怖

ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
JR明石駅より徒歩5分、明石やまだ内科歯科クリニック院長の山田恭孝です。
連日厳しい暑さが続き、熱中症対策としてこまめな水分補給が欠かせない季節となりました。しかし、「倒れないように」と良かれと思って飲んでいるスポーツドリンクや炭酸飲料が、思わぬ命の危険を引き起こすことがあるのをご存知でしょうか。
今回は、夏場に急増する「ソフトドリンクケトーシス(ペットボトル症候群)」の恐ろしさと、正しい夏の水分補給、そしてお口の健康を守るポイントについて解説します。
■ 悪循環が生む「ソフトドリンクケトーシス」とは

猛暑の中、外回りや作業で大量の汗をかき、喉の渇きを潤すために甘いジュースやスポーツドリンクを何本も飲んでしまう。すると、血液中の糖分が急激に増加し、極端な高血糖状態に陥ります。
体は余分な糖を尿として排出しようとするため、尿の量が増えてさらに脱水が進みます。「喉が渇いたから」とまた甘い飲み物を飲む…という悪循環に陥ることで、血糖値が異常な高さまで跳ね上がってしまうのです。
進行するとインスリンが効かなくなり、脂肪が分解されて血液中に「ケトン体」という有害な酸性物質があふれ出します。これがソフトドリンクケトーシスです。いくら飲んでも取れない異常な喉の渇き、全身の強いだるさ、吐き気などの症状が現れ、放置すれば意識障害を起こして救急搬送される危険性があります。
■ 「自分は大丈夫」と思っている人ほど要注意

この症状は、「夏バテ」と勘違いされて発見が遅れることが非常に多いのが特徴です。
特に注意が必要なのは、以下のような方々です。
・「スポーツドリンク=健康に良い」と思い込み、水やお茶代わりに飲んでいる中高年の方
・自分が糖尿病であることに気づいていない「隠れ糖尿病」の方
・健康診断で「血糖値が高め」と指摘されている糖尿病予備群の方
加齢とともに喉の渇きを感じにくくなり、糖を代謝する力も落ちているため、中高年の方は特にリスクが高まります。また、部活動後に清涼飲料水を大量に飲む10代の若者にも発症例があり、世代を問わず油断はできません。
■ スポーツドリンクには角砂糖がどっさり?正しい水分補給
日常の生活において、スポーツドリンクが必要になる場面は実はほとんどありません。激しい運動で大量の汗をかき、糖分・塩分・水分を一気に失うような場面以外は、お水や麦茶などで十分です。
一般的な500mLのスポーツドリンクには、なんと角砂糖7から10個分もの糖分が溶け込んでいます。熱中症対策のつもりが、知らず知らずのうちに大量の糖質を摂取してしまっているのです。
日中は、食事の水分とは別に1日から1.5リットルのお水やお茶をこまめに飲むようにしましょう。もし、ぐったりするほどの脱水や熱中症の症状を感じた場合は、ジュースではなく、糖分が抑えられ塩分バランスが調整されたOS-1などの「経口補水液」を飲むのが正解です。
■ アイスやお酒のトラップと「歯」への深刻なダメージ

夏場に気をつけたいのは飲み物だけではありません。アイスクリームや果物の食べ過ぎ、そして冷たいビールや甘いチューハイにも吸収の早い糖分がたっぷり含まれています。特にアルコールは利尿作用があるため、飲めば飲むほど脱水を加速させてしまいます。
そして、当院としてもう一つ忘れてはならないとお伝えしたいのが「お口へのダメージ」です。
糖分の多い飲料をちびちびと飲み続けたり、アイスを頻繁に食べたりしていると、お口の中が常に酸性に傾き、むし歯菌が爆発的に繁殖します。さらに、強い酸によって歯の表面が溶け出す「酸蝕歯(さんしょくし)」のリスクも一気に跳ね上がります。
■よくあるご質問(Q&A)

Q1:スポーツドリンクを水で薄めて飲めば、熱中症対策になりますか?
A: 糖分は減らせますが、同時に塩分などの電解質も薄まってしまうため、熱中症対策としては不十分になってしまいます。普段の水分補給はお水や麦茶にし、大量に汗をかいた時や脱水症状がある時だけ経口補水液をそのまま飲むのが理想的です。
Q2:病院に行くと、糖尿病の検査結果はすぐに分かりますか?
A: はい、分かります。当院には迅速血液検査機が常設されており、現在の血糖値や過去1〜2ヶ月の血糖の平均を示す「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」などの結果が最短15分程度で判明します。その日のうちに詳しい状態をご説明できます。
Q3:熱中症予防のために、経口補水液(OS-1など)を毎日飲んでもいいですか?
A: 経口補水液は「飲む点滴」と呼ばれるほど塩分が多く含まれています。熱中症の症状がない健康な時に日常的に飲むと、塩分の摂りすぎになり高血圧などの原因となるため、普段飲みには適していません。
Q4:健康診断で糖尿病予備軍と言われましたが、どうすればいいですか?
A: 「予備軍」の段階であれば、食事や飲み物の見直し、適度な運動などの生活習慣の改善で正常な数値に戻ることは十分に可能です。当院では糖尿病専門医による外来も実施しており、専門的なアドバイスを行っております。
Q5:甘い飲み物を飲んだ後、お口のケアで気をつけることはありますか?
A: スポーツドリンクや炭酸飲料は酸性度が高く、そのままにしておくと歯が溶ける「酸蝕歯」のリスクが高まります。飲んだ後は、軽くお水で口をゆすぐ習慣をつけましょう。 当院は「内科・歯科併設クリニック」ですので、内科での血糖値管理と同時に、歯科でお口のダメージをケアする「医科歯科連携」のトータルサポートが可能です。
■ おわりに:夏の不調は内科と歯科の連携でトータルケアを

「最近やたらと喉が渇く」「だるさが抜けないし、体重が減ってきた」という症状は、単なる夏の疲れではなく、血糖値の異常を知らせる体からのSOSかもしれません。
当院は内科と歯科を併設しており、内科での正確な血糖値の測定や糖尿病の診断・治療はもちろん、甘い飲み物でダメージを受けた歯のケアや歯周病予防まで、全身の健康をワンストップでサポートすることが可能です。
少しでも体調に不安を感じた方、喉の異常な渇きが気になる方は、症状が重篤化する前に、どうぞお気軽に明石やまだ内科歯科クリニックへご相談ください。