ブログ

【医師解説】原因不明の腹痛や胸痛、背部痛…それって「ACNES(アクネス)」かもしれません

皆さま、こんにちは。

明石駅から徒歩5分の「明石やまだ内科歯科クリニック」院長の山田恭孝です。

「お腹が痛くて色々な検査を受けたけれど、どこにも異常がないと言われた」

「ずっと同じ場所がチクチク、ズキズキ痛んで不快だ」

日常の診療をしていると、このような「原因不明の痛み」でお悩みの方に時折お会いします。実は、詳しく調べてみると内臓の病気ではなく「ACNES(アクネス)」という病気であることが少なくありません。

命に関わるような重症につながる病気ではないものの、日常的に症状が生じるため、不快感が強く生活の質を下げてしまう厄介な病気です。今回は、このACNESと、それに類似する胸痛や背部痛の病気についてまとめて解説します。

■内臓ではなく「神経の挟み込み」が原因のACNES

ACNES(前皮神経絞扼症候群:アクネス)は、お腹の表面(腹壁)を通る細い神経が、筋肉を貫く部分でギュッと締め付けられる(絞扼される)ことによって起こる病気です。

胃や腸といった「内臓」が痛んでいるのではなく、「お腹の壁の神経」が痛んでいるのが最大の特徴です。そのため、指一本で「ここが痛い」とピンポイントで場所を指し示せるほどの限局した痛みがあり、体をひねったり、腹筋に力を入れたりすると痛みが強くなる傾向があります。

■脇腹や背中が痛むLACNESとPOCNES

この「神経が筋肉に挟み込まれる」という現象は、お腹の正面だけでなく、体の側面や背中でも起こります。痛む場所によって、以下のように呼び方が変わります。

LACNES(ラクネス:側皮神経絞扼症候群)

体の側面にある神経が締め付けられる病気です。脇腹や胸の横あたりに強い痛み(胸痛や側腹部痛)が生じます。肋間神経痛や尿管結石と間違われることもあります。

POCNES(ポクネス:後皮神経絞扼症候群)

背中側の神経が締め付けられる病気です。背骨の少し外側あたりにピンポイントの痛み(背部痛)が生じます。整形外科でレントゲンを撮っても異常が見つからない長引く背中の痛みは、このPOCNESである可能性があります。

これらはすべて、神経の通り道での「圧迫・挟み込み」が原因で起こる兄弟のような病気です。

■なぜ「原因不明」と言われてしまうのか?

ACNESやLACNES、POCNESが厄介なのは、血液検査や胃カメラ、エコー、CT、MRIなどの画像検査では「一切異常が写らない」という点です。これらの検査は内臓の病気を見つけるのには優れていますが、細い神経の締め付けまでは画像として捉えることができません。

そのため、様々な検査を受けても異常が見つからず、「気のせい」「ストレスでしょう」と片付けられてしまい、長期間痛みを我慢している患者様が多くいらっしゃいます。

■どのような治療があるの?

先にお伝えした通り、重症化して命に関わる病気ではありませんが、不快感が強いため、適切な治療を行うことで日々の生活がぐっと楽になります。

まずは、痛みの原因となっている神経のポイントに局所麻酔薬などを注射する「ブロック注射」を行います。これが診断の確認にもなり、注射をしてスッと痛みが引けばACNES(またはLACNES、POCNES)である可能性が高いと判断できます。一度の注射で痛みが長期的に消失する方もいらっしゃいます。

また、神経の痛みを和らげる内服薬を使用したり、どうしても痛みが取れない難治性の場合は、締め付けられている神経の処理を行う外科的治療が検討されることもあります。

■おわりに

原因不明の腹痛、胸痛、背部痛が長く続いている方は、「内臓の異常」ではなく「神経の挟み込み」かもしれません。命に関わらないとはいえ、毎日の痛みや不快感は心身のストレスになります。決して「気のせい」と諦めず、一度ご相談ください。

当院では内科としての専門的な診断・治療はもちろん、歯科を併設しており、お口の健康から全身の健康までをトータルでサポートする医科歯科連携を行っております。

お腹や体の痛みでお悩みの方は、ぜひ明石やまだ内科歯科クリニックへお気軽にご相談ください。

 

明石やまだ内科歯科クリニック