【消化器病専門医が解説】夏の下痢・食中毒に要注意!便通異常の原因と消化器内科を受診すべきタイミング

皆さま、こんにちは。
JR明石駅より徒歩5分、明石やまだ内科歯科クリニック院長の山田恭孝です。
夏になると食中毒が増えます。カンピロバクター、サルモネラ菌、腸管出血性大腸菌(O157)—毎年ニュースになるこれらの食中毒は、命にかかわることもあります。 「ただの下痢かな」と様子を見ていると危険なケースを、消化器内科専門医の視点からお伝えします。
■ 夏に急増する食中毒の原因菌

夏場(6〜9月)は細菌性食中毒が急増します。主な原因は以下の通りです。
・カンピロバクター(鶏肉の加熱不足が多い):2〜5日の潜伏期後、発熱・腹痛・血便を引き起こす。
・サルモネラ菌(卵・鶏肉が多い):8〜72時間後に嘔吐・下痢・発熱。
・腸管出血性大腸菌O157(牛肉・野菜等):3〜8日後に激しい腹痛・血便。溶血性尿毒症症候群(HUS)に移行すると死亡リスクあり。
厚生労働省のデータでは、カンピロバクターが食中毒件数のトップです。
■ 夏の冷房による「冷え腸」も便通異常の原因

食中毒以外にも、夏は「クーラーによる体の冷え」が腸の不調を招きます。腸は温度変化に敏感で、腸が冷えると血流が悪化し、蠕動(ぜんどう)運動が低下します。
冷たい飲み物・食べ物のとりすぎも同様に腸を冷やし、下痢や腹痛を引き起こします。冷房の効いた場所に長時間いる場合は、腹巻きや薄いカーディガンで腹部を保護することをお勧めします。
■ 「受診すべき下痢」と「様子を見てよい下痢」の見分け方

すぐに消化器内科を受診すべき下痢の危険なサインは以下の通りです。
・血便・黒色便を伴う
・38.5℃以上の高熱を伴う
・強い腹痛が1時間以上続く
・水様下痢が1日10回以上
・ 高齢者、乳幼児、免疫低下状態の人
・症状が3日以上続く
これらに当てはまる場合は、自己判断での止痢薬(下痢止め)の使用は避け、医師の診察を受けてください。細菌性食中毒では、下痢止めを飲むと菌や毒素の体外への排出を妨げ、症状が悪化することがあります。
■ ウイルス性胃腸炎(夏型)にも要注意

夏に多いウイルス性胃腸炎は冬に多いノロウイルスではなく、アデノウイルス・エンテロウイルスが原因のことが多いです。主に小児に見られますが、大人でも感染します。
症状は嘔吐・下痢・微熱で、通常3〜5日で自然軽快します。基本治療は水分補給(経口補水液)と休養です。嘔吐が激しく水分が取れない場合は、点滴が必要なため受診してください。
■ 食中毒を予防する「食の安全3原則」

・つけない:食前・食後の手洗い、まな板・包丁の使い分け。
・増やさない:食品は冷蔵庫で保管(10℃以下)、作ったらすぐ食べる。
・やっつける:中心温度75℃・1分以上の加熱が基本。
バーベキューや生食(鶏刺しなど)は食中毒リスクが高いため、特に注意が必要です。
■ よくあるご質問(Q&A)

Q1:O157に感染したら抗生物質は飲むべきですか?
A:抗生物質の使用はO157による溶血性尿毒症症候群(HUS)のリスクを高める可能性があるため、自己判断では絶対に使用せず、必ず専門医の指示に従ってください。
Q2:夏の下痢に市販の整腸剤は使ってよいですか?
A:整腸剤(ビオフェルミン等)は腸内フローラを整える効果があり、ウイルス性や軽い食中毒後の回復を助けます。ただし、血便・高熱を伴う場合は使用を控え、速やかに医療機関を受診してください。
Q3:下痢が長引く場合、大腸カメラなどの検査は必要ですか?
A:はい。血便を伴う場合や下痢が長引く場合は、感染症だけでなく、大腸がんやポリープ、その他の腸の病気が隠れている可能性があります。当院では鎮静剤を使用し、ウトウトと眠っているような状態で受けられる苦痛の少ない大腸カメラ検査を行っており、検査後にお腹が張りにくい炭酸ガス(CO2)も導入しています。
Q4:食中毒以外の病気で血便や下痢が続くことはありますか?
A:潰瘍性大腸炎やクローン病などの「炎症性腸疾患(IBD)」という指定難病の可能性もあります。当院には、これらの疾患の専門的な診断・治療が可能な「炎症性腸疾患専門医(IBD専門医)」「IBD連携専門医」が在籍しておりますので、長引く症状はご相談ください。
Q5:胃腸炎の予防に、歯科でのケアが関係あるというのは本当ですか?
A:はい、本当です。お口の中で増殖した歯周病菌などの悪玉菌が唾液と一緒に腸へ流れ込むと、腸内環境が悪化し、免疫力が低下して胃腸炎にかかりやすくなります。当院は「内科・歯科併設クリニック」ですので、内科での胃腸ケアと並行して、歯科でお口の細菌を減らす「医科歯科連携」によるトータルサポートが可能です。
■ おわりに:夏のお腹の不調は当院へ

夏の下痢・腹痛が続く場合は、食中毒や腸疾患の可能性があります。「ただの下痢だろう」と放置せず、危険なサインを見逃さないことが大切です。
当院では、専門医による的確な診断のもと、必要に応じて苦痛の少ない内視鏡検査などを行い、患者様に合わせた適切な治療をご提案いたします。気になる症状がある方は、どうぞお気軽に明石やまだ内科歯科クリニックへご相談ください。