【消化器病専門医が解説】「ただの切れ痔」と放置していませんか?20代に多いお腹の難病「クローン病」のサイン

皆さま、こんにちは。
JR明石駅より徒歩5分、明石やまだ内科歯科クリニック院長の山田恭孝です。
「便秘気味だし、切れ痔になったのかも……」
「ちょっとお尻が痛いけれど、よくあることだろう」
学業や仕事に忙しい日々の中で、お尻の違和感を覚えつつも、恥ずかしさから病院に行けず、市販の軟膏でやり過ごしていませんか?
実は、その「ありふれた痛み」の裏に、お腹の深いところで進行する深刻な難病が隠れていることがあります。 今回は、近年若い世代を中心に注意が必要な「クローン病」と、見逃してはいけないお尻のSOSサインについて解説します。
■ クローン病とは?お尻の症状から始まることも

「クローン病」は、口から肛門までのすべての消化管にわたって、慢性的な炎症や深い潰瘍(かいよう)ができる指定難病です。原因は十分に解明されていませんが、本来は体を守るはずの免疫システムに異常が生じ、自らの消化管を攻撃してしまう(免疫の暴走)ことが関わっています。
この病気は10代後半から20代の若い世代に発症のピークがあるのが特徴です。さらに厄介なのは、腹痛や下痢といった分かりやすいお腹の症状が全くない段階でも、「お尻の症状(治りにくい切れ痔や痔ろう)」だけが最初にあらわれるケースが非常に多いという点です。
炎症が腸の壁を突き抜けると、腸とお尻の皮膚をつなぐ異常なトンネル(ろう孔)が作られ、そこに細菌が入り込んで大量の膿(うみ)を溜めてしまいます。これを放置して市販薬だけでごまかしていると、ある日突然の高熱や激痛、さらには腸閉塞などを引き起こす引き金になってしまいます。
■ 見逃してはいけない「3つのサイン」

「ただの切れ痔」と「クローン病による腸のトラブル」を見分けるために、以下の3つのポイントに注意してください
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市販の痔の薬を使い続けても、数ヶ月も痛みが治まらない
通常の切れ痔であれば数週間で改善しますが、クローン病による傷は市販薬ではなかなか塞がりません。
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肛門の横にぽこっとした腫れができ、熱い膿が出る
肛門周囲膿瘍や痔ろうに進行している危険なサインです。
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お尻の痛みだけでなく、理由のない体重減少がある
下痢や腹痛がなくても、目に見えない小腸などで慢性的な炎症が続き、栄養の吸収障害が起きている恐れがあります。
■ 早めの受診と、万が一のときの対応

「お尻の悩みなんて、恥ずかしくて人には相談できない……」
そう思って受診を先延ばしにしてしまうお気持ちは痛いほどよく分かります。しかし、現在は免疫の暴走を抑える優れた治療薬もあり、早期に適切な治療を行えば、手術を回避して普通の日常生活を問題なく送れるケースがほとんどです。
ただし、もし「お尻の激痛」に加えて「38度以上の高熱」が出たり、膿が大量に溢れ出たりした場合は、全身に細菌が回る危険性がある超緊急事態です。翌朝まで我慢せず、すぐに救急外来を受診してください。そこまでの急変がなくても、市販薬で改善しない違和感がある場合は、決して恥ずかしがらずに専門医に相談しましょう。
■ よくあるご質問(Q&A)

Q1:クローン病は遺伝する病気ですか?
A:遺伝的な要因も関係していると考えられていますが、それだけで発症するわけではありません。食生活の欧米化やストレス、腸内細菌の乱れなど、様々な要因が複雑に絡み合って発症すると言われています。
Q2:お尻の症状のほかに、クローン病を疑うサインはありますか?
A:腹痛や慢性的な下痢、血便のほか、微熱が続く、だるい、口内炎が頻繁にできて治りにくいといった症状が見られることもあります。特に若い方でこれらの症状が長引く場合は、一度消化器内科を受診することをお勧めします。
Q3:クローン病かどうかの検査(大腸カメラ)は痛いですか?
A:当院では、患者様の苦痛を最小限に抑えるため、鎮静剤を使用してウトウトと眠っているようなリラックスした状態で検査を行います。また、検査後のお腹が張りにくい炭酸ガス(CO2)送気を使用しているため、不快感も大きく軽減されます。恥ずかしさにも最大限配慮しておりますのでご安心ください。
Q4:もしクローン病だと診断されたら、どのような治療をしますか?
A:当院には「日本炎症性腸疾患学会 IBD専門医」「日本炎症性腸疾患学会IBD連携専門医」の2人が在籍しております。患者様の症状やライフスタイルに合わせ、免疫の暴走を抑えるお薬(5-アミノサリチル酸製剤など)を用いて、症状が落ち着いた状態(寛解)を維持する治療を専門的に行います。
Q5:クローン病とお口のケアに関係はあるのでしょうか?
A:大いに関係があります。クローン病は「口から肛門まで」の消化管全般に炎症が起きるため、お口の中にも口内炎や潰瘍ができやすくなります。また、歯周病菌が腸内の炎症を悪化させる可能性も指摘されています。当院は「内科・歯科併設クリニック」ですので、腸の治療と同時にお口の環境を整える「医科歯科連携」のトータルサポートが可能です。
■ おわりに:小さなSOSを放置しないで

ご自身の体の小さな不調を「忙しいから」「よくあることだから」と見過ごしてしまうことは、誰にでもあるかもしれません。しかし、体からのSOSサインに早く気づくことが、重症化を防ぐための最大の防御となります。
当院はIBDを専門的に治療できる機関として、お腹の健康や胃腸のトラブルに関するご相談に丁寧に対応しております。また、お口の健康と全身の健康をトータルで守る「医科歯科連携」の観点からも、皆さまの健やかな毎日をサポートいたします。
「お尻の痛みがなかなか良くならない」「少し気になる症状がある」という方は、どうぞお一人で悩まず、お気軽に明石やまだ内科歯科クリニックへご相談ください。