胃ポリープは切除が必要?がんになる? 消化器内科医が種類別に解説

健康診断のバリウム検査や、胃カメラ検査で「胃ポリープがありますね」と指摘されたことはありませんか?
「ポリープ」と聞くと、「がんになるのではないか?」「すぐに切除しなくて大丈夫か?」と不安に思われる方も多いかもしれません。
しかし、胃ポリープのほとんどは、がん化の心配がなく、切除も不要です。大切なのは、ご自身のポリープがどの種類なのかを正確に知ることです。
この記事では、胃ポリープの種類ごとの特徴と、適切な対処法について詳しく解説します。
胃ポリープとは?
「ポリープ」とは、病名ではなく、胃の粘膜からキノコのように隆起(もりあがった)した病変の「形」を指す言葉です。
一般的に「胃ポリープ」と呼ばれるものの多くは、腫瘍ではない良性の病変です(がんは「胃がん」として区別されます)。胃ポリープは主に2つの種類に分けられ、その原因や対処法は全く異なります。
胃ポリープの主な種類

胃カメラで発見されるポリープの多くは、「胃底腺ポリープ」と「過形成性ポリープ」の2種類です。
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胃底腺(いていせん)ポリープ
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特徴:
健康診断などで最もよく見つかるタイプです。周囲の正常な粘膜と同じような色調で、表面は滑らか、数ミリ程度の半球状のものが多発することもあります。
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原因:
ヘリコバクター・ピロリ菌に感染していない、炎症のないきれいな胃に発生します。近年、ピロリ菌感染者が減少しているため、このポリープが見つかる方は増加傾向にあります。
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リスクと対処:
がん化する可能性は極めてまれであり、基本的には治療の必要はありません。症状もほぼないため、経過観察となります。
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過形成性(かけいせい)ポリープ
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特徴:
胃底腺ポリープの次に多く見られます。表面がイチゴのように赤く、ザラザラ・デコボコしているのが特徴で、出血やびらん(ただれ)を伴うこともあります。
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原因:
多くはピロリ菌感染による慢性的な胃炎(胃の荒れ)が原因で発生します。胃の粘膜が炎症による刺激に反応し、細胞が増殖した結果、ポリープを形成します。
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リスクと対処:
基本的には良性ですが、サイズが大きくなる(特に2cmを超える)と、まれにがんが合併する(約2%)ことが報告されています。
このポリープが見つかった場合、まずは原因であるピロリ菌の検査・除菌治療を行います。ピロリ菌を除菌することで、約80%のポリープが自然に小さくなる、あるいは消失することがわかっています。
胃ポリープの症状
胃底腺ポリープ、過形成性ポリープともに、それ自体が症状を引き起こすことはほとんどありません。
胃もたれや胃の不快感、食欲不振などの症状がある場合、それはポリープが原因ではなく、同時に起きている「慢性胃炎」(特に過形成性ポリープの原因となるピロリ菌感染による胃炎)が原因であることが多いです。
ただし、過形成性ポリープは表面がもろく出血しやすいため、まれに出血による貧血の原因となることがあります。
胃ポリープは切除(治療)が必要か?
「胃ポリープは切除したほうがよいですか?」というご質問をよくいただきますが、結論から言うと、ほとんどの胃ポリープは切除する必要がありません。
その理由は以下の2点です。
1.がん化のリスクが低いから
最も多い「胃底腺ポリープ」は、がんとは発生する胃粘膜の状態(背景)が異なり、がん化しません。
2.切除後の出血リスクが高いから
胃は血流が非常に豊富な臓器です。そのため、安易にポリープを切除すると、大腸ポリープの切除に比べて何十倍も出血のリスクが高くなります(胃の内視鏡治療では約5%に出血が起こるとされます)。
がん化の心配がないポリープを、高い出血リスクを冒してまで切除するメリットはないのです。
切除を検討するケース
切除が検討されるのは、以下のようなごく限られた場合です。
- ・過形成性ポリープが2cmを超え、がんの合併が疑われる場合
- ・過形成性ポリープからの出血が続き、貧血の原因となっている場合
このような場合でも、胃からの出血リスクを考慮し、大腸ポリープのように外来で切除することはなく、入院での治療が原則となります。過形成性ポリープに対しては、切除よりもまずピロリ菌の除菌治療を優先します。
まとめ

健康診断などで「胃ポリープ」を指摘されても、過度に心配する必要はありません。
重要なのは、ご自身のポリープが「がん化の可能性が低い胃底腺ポリープ」なのか、「ピロリ菌除菌が必要な過形成性ポリープ」なのかを、胃カメラ検査で正確に診断することです。
明石やまだ内科歯科クリニックでは、消化器内視鏡の専門医・指導医が、苦痛の少ない胃カメラ検査(鎮静剤の使用や経鼻内視鏡)を行っています。ポリープの種類を的確に診断し、ピロリ菌の検査や除菌治療も含めて、患者さま一人ひとりに最適な方針をご提案いたします。
胃ポリープについて気になることがあれば、お気軽に当院までご相談ください。