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【医師が解説】血圧の基準値と「高血圧」の危険性。放置が招く深刻な病気とは?


「血圧が高い」と健康診断で指摘されても、自覚症状がないため「まだ大丈夫」と放置してはいないでしょうか。高血圧は、日本において最も患者数が多い生活習慣病であり、深刻な病気を引き起こす重大なリスク要因です。

ご自身の血圧の状態を正しく理解し、将来の健康を守るために、高血圧の基礎知識と、その危険性について詳しく解説します。

  1. そもそも血圧とは?

血圧とは、心臓から送り出された血液が、血管(動脈)の壁を押す圧力のことです。心臓の動きに合わせて、血圧は常に変動しています。

 

収縮期血圧(最高血圧):

心臓が「収縮」して全身に血液を送り出すときの、最も強い圧力。一般的に「上の血圧」と呼ばれます。

 

拡張期血圧(最低血圧):

心臓が「拡張」して血液が戻ってくるときに、血管にかかっている最も弱い圧力。「下の血圧」と呼ばれます。

  1. なぜ高血圧は「サイレントキラー」と呼ばれるのか

高血圧の最も恐ろしい点は、重症になるまで自覚症状がほとんどないことです。

症状がない間も、血管の壁には常に高い圧力がかかり続けています。この負担が続くと、血管は次第に硬く、厚く、もろくなります。これが「動脈硬化」です。

動脈硬化が進行すると、血管が詰まったり、破れたりしやすくなり、ある日突然、命に関わる合併症を引き起こします。

脳の病気

脳梗塞、脳出血、くも膜下出血

心臓の病気

心筋梗塞、狭心症、心不全

腎臓の病気

慢性腎臓病(腎不全)、透析

その他の影響

大動脈解離、眼底出血(失明のリスク)

高血圧を「サイレントキラー(沈黙の殺人者)」と呼び、症状がなくても治療が必要な理由は、これらの深刻な合併症を防ぐためです。

  1. 高血圧の主な原因とリスク要因

高血圧は、複数の要因が絡み合って発症します。

遺伝的要因

ご家族に高血圧の方がいると、体質的に高血圧になりやすい傾向があります。

食塩の過剰摂取

日本人に最も多い原因の一つです。塩分を摂りすぎると、体は塩分濃度を薄めようと水分を溜め込み、血液量が増加するため血圧が上がります。

肥満

肥満、特に内臓脂肪が増えると、血圧を上げるホルモンの影響が強くなります。

運動不足

運動不足は肥満につながるだけでなく、血流の悪化を招きます。

その他の生活習慣

喫煙(血管を収縮させる)、過度な飲酒、精神的なストレス、加齢なども大きな要因です。

  1. どこからが高血圧? 診断基準と分類

高血圧の診断には、病院で測る「診察室血圧」と、ご自宅でリラックスした状態で測る「家庭血圧」の2つの基準が使われます。特に、日々の状態を反映する家庭血圧が診断において重視されます。

血圧の種類

診察室血圧

家庭血圧

高血圧

140/90mmHg以上

135/85mmHg以上

注意すべき特殊な高血圧

  • 白衣高血圧:家庭血圧は正常なのに、診察室での緊張により血圧が高くなる状態です。
  • 仮面高血圧:診察室血圧は正常なのに、家庭血圧が高い状態。早朝や夜間に血圧が上がる「早朝高血圧」や「夜間高血圧」が含まれ、動脈硬化が進行しやすく、脳卒中や心筋梗塞のリスクが非常に高いため特に注意が必要です。

 

血圧の分類(成人の場合)

ご自身の血圧がどの段階にあるかを知ることは非常に重要です。

 

診察室血圧の分類(mmHg)

分類

収縮期血圧 (上)

 

拡張期血圧 (下)

正常血圧

120未満

かつ

80未満

正常高値血圧

120-129

かつ

80未満

高値血圧

130-139

かつ/または

80-89

高血圧

140以上

かつ/または

90以上

 

家庭血圧の分類(mmHg)

分類

収縮期血圧 (上)

 

拡張期血圧 (下)

正常血圧

115未満

かつ

75未満

正常高値血圧

115-124

かつ

75未満

高値血圧

125-134

かつ/または

75-84

高血圧

135以上

かつ/または

85以上

※「高値血圧」はまだ高血圧ではありませんが、将来的に高血圧に移行する可能性が高く、生活習慣の見直しが推奨される段階です。

  1. 治療の基本と家庭血圧の重要性

高血圧治療の最大の目的は、動脈硬化の進行を抑え、将来の脳卒中や心筋梗塞を防ぐことです。

 

治療の基本

1.生活習慣の修正(基本):

まず行うべき最も重要な治療です。「減塩(1日6g未満)」「適度な運動(有酸素運動)」「減量」「節酒・禁煙」「ストレス管理」などに取り組みます。

2.薬物療法:

生活習慣を改善しても血圧が目標値まで下がらない場合や、血圧が非常に高い場合、合併症のリスクが高い場合には、お薬(降圧薬)による治療を併用します。

 

治療の目標値

年齢や合併症の有無によって、目指すべき血圧の目標値は異なります。

 

75歳未満の成人:

診察室血圧 < 130/80mmHg

(家庭血圧 < 125/75mmHg)

 

75歳以上の高齢者:

診察室血圧 < 140/90mmHg

(家庭血圧 < 135/85mmHg)

※合併症などにより、目標値は個別に設定されます。

家庭血圧測定のすすめ

仮面高血圧の発見や、治療効果の確認、薬の調整など、高血圧の管理においてご自宅での血圧測定は不可欠です。ぜひ、朝起きた後と夜寝る前の決まった時間に測定し、記録する習慣をつけましょう。

高血圧は、自覚症状がないうちに進行する恐ろしい病気ですが、正しく管理すれば合併症を防ぐことが可能です。健康診断で血圧を指摘された方、ご家庭での血圧が気になる方は、決して放置せず、お早めに当クリニックへご相談ください。

 

明石やまだ内科歯科クリニック