ブログ

【膵臓の指導医が解説】「沈黙の臓器」の警告を見逃さないために

はじめに:「まさか自分が」を防ぐために

近年、著名な方々の間で膵臓疾患の公表が続いています。

「恐怖漫画の巨匠」として知られる日野日出志氏が膵臓がんを公表され、その原因として「無茶な酒とヘビースモーカーの末路」を挙げたこと、また、ゲーム実況者のたろちん氏が重症急性膵炎により膵臓の3分の2が壊死し、命の危機に瀕した壮絶な体験は、記憶に新しいことでしょう。

膵臓は、消化酵素を出す「外分泌機能」と、血糖値を調整するインスリンなどを出す「内分泌機能」の2つの役割を持つ重要な臓器ですが、肝臓と並び「沈黙の臓器」と呼ばれ、少し疲弊したり、病気が始まっても自覚症状を出しにくい特徴があります。特に膵臓がんは、早期では症状がなく、発見された時には進行していることが多い難治がんの一つで、2023年の発表では、男女あわせてがんの死亡数は肺癌、大腸癌についでの3位と非常に怖い疾患いなります。

しかし、人間ドックでたまたま見つかった10ミリの膵のう包から早期のがんが発見され、手術によって「本当に良かった」と元気に過ごしている患者さんの事例もあります。早期発見こそが、膵臓疾患を克服し、良好な結果を得る鍵となるのです。

  1. 膵臓疾患のリスク要因と「疲れのサイン」

重篤な膵臓疾患に至る背景には、特定の生活習慣が深く関わっています。膵臓がんのリスク要因、急性膵炎の原因として、以下のものが挙げられています。

 

膵臓を追い込む主な危険因子

過度な飲酒:大量のアルコール摂取(純エタノール換算で男性50g/日以上、女性25g/日以上)は膵臓がんのリスクを高めることがわかっています。また、たろちん氏の事例のように、急性膵炎の最も一般的な原因の一つです。節酒は、がん予防法の一つとして重要です。

喫煙:タバコは膵臓がんのリスクを確実に上げることがわかっています。

糖尿病と肥満:糖尿病はほぼ確実に膵臓がんのリスクを上げ、新規に診断された人は発症リスクが8倍高いという研究結果もあります。また、高糖質・高脂質食品の過剰摂取は慢性的な高インスリン血症を招き、これががんの進行を促進したり、ストレス太りとして現れたりします。男性においては、BMI 30以上の肥満もリスク要因です。

既存の膵臓の病変:膵のう包や慢性膵炎、膵臓がんの家族歴がある方もハイリスクです。

特に膵のう胞は全人口の2-3%、80歳以上では8-9%の有病率ともいわれており、稀な疾患ではありません。

 

沈黙の臓器のSOS:「膵臓の疲れ」サイン

膵臓が疲れてインスリンの分泌リズムが崩れると、血糖値が乱高下し、以下のようなサインが出ることがあります。これらは、やがて本格的な糖尿病や膵臓がんのリスクに繋がる可能性があります。

  • 食後に異様な眠気がくる
  • お腹まわりだけが太ってきた
  • 甘いものを食べてもすぐに空腹を感じる
  1. 早期発見の切り札:超音波内視鏡(EUS)

症状が出る前に、膵臓の異変を捉えることが非常に重要です。 明石やまだ内科歯科クリニックでは、院長が日本膵臓学会認定指導医の資格を持ち、膵臓、胆管、肝臓といった発見や治療が難しい病気の治療経験が豊富な専門医が診療にあたります。 当院では、膵がんの早期発見に有効な「超音波内視鏡(EUS)」を導入し、地域の皆さまに精密な検査を受けられる体制を整えています。

 

EUSのメリット

EUSは、内視鏡の先端に超音波装置がついた特殊な検査機器です。

  • 胃や十二指腸の内側(内腔)から膵臓や胆道を高精度で観察でき、CTやMRIでは発見が難しい10mm前後の小さな腫瘍や病変の検出も可能です。
  • 膵のう胞、膵疾患の家族歴、肥満、喫煙、多量の飲酒、糖尿病増悪傾向がある方に特に推奨されます。
  • この検査は高度な技術が必要ですが、当院では1500件以上のEUSを施行してきた経験豊富な膵臓専門医が担当します。

 

苦痛の少ない検査への配慮

内視鏡検査(胃カメラ、大腸カメラ、EUS)を受ける際は、苦痛が心配な方もいらっしゃるでしょう。当院では、患者さまの不安を軽減するため、ご希望に応じて鎮静剤や鎮痛剤を使用し、苦痛の少ない検査を心がけています。EUS検査も、通常、鎮静剤を使用するため、「眠っている間に検査が終わることがほとんど」です。

  1. リスク管理と専門医への早期相談

膵臓の病気は、初期段階では自覚症状がないため、発見が難しいのが実情です。 日野日出志氏やたろちん氏の事例も、決して他人事ではありません。本記事で挙げたような「過度な飲酒」「喫煙」「糖尿病や肥満」といったリスク要因に心当たりがある方、また「食後の異様な眠気」などのサインを感じる方は、症状がなくても一度専門医に相談することが重要です。

特に、膵のう胞の経過観察を指摘されている方、膵臓がんの家族歴がある方、長期間の糖尿病を患っている方は、膵臓がんのハイリスク群とされています。

当院では、日本膵臓学会認定指導医による専門的な知見と、超音波内視鏡(EUS)という高精度な検査機器を組み合わせ、皆様の「まさか」を防ぐお手伝いをしています。

膵臓の健康に不安を感じたら、手遅れになる前に、ぜひ一度ご

明石やまだ内科歯科クリニック