【日本膵臓学会認定指導医が解説】健診の腹部エコーで「膵臓」が見えにくい?「異常なし」でも安心できない理由

皆さま、こんにちは。
JR明石駅より徒歩5分、明石やまだ内科歯科クリニック院長の山田恭孝です。
健康診断や人間ドックで「腹部エコー検査」を受け、「異常なし」という結果を見てホッと胸をなでおろした経験はありませんか? 腹部エコーは、肝臓や胆のう、腎臓などの病気を早期に見つけるうえで非常に重要で、体への負担も少ない優れた検査です。
しかし、実は「腹部エコーでは十分に観察しにくい臓器」があるのをご存知でしょうか。その代表が「膵臓(すいぞう)」です。 今回は、健康診断のエコー検査の特徴と、膵臓の病気を見逃さないために知っておくべきポイントについて解説します。
■ なぜ、健診の腹部エコーで膵臓は見えにくいのか?

一般的な腹部エコー検査では、肝臓、胆のう、膵臓、腎臓、脾臓などの形や大きさ、内部の状態を確認します。脂肪肝や胆石、腎のう胞などの早期発見には欠かせない検査ですが、臓器によって「見えやすさ」に差があります。
特に膵臓は、腹部エコーで見えにくい臓器の代表格です。 その理由は、膵臓が胃や腸の「奥」に位置しているためです。超音波は空気を通しにくいため、胃や腸の中にガスがたまっていると、膵臓を十分に捉えることができません。また、体格や内臓脂肪の影響も受けやすく、特に膵臓の左側(膵尾部)は観察が難しい傾向にあります。
そのため、「腹部エコーで異常なしだったから、膵臓もすべて大丈夫」と過信してしまうのは禁物なのです。
■ 膵臓を詳しく調べるための検査方法

では、膵臓の状態を正確に把握したい場合には、どのような検査が行われるのでしょうか。
・CT検査
短時間で広範囲を撮影でき、膵臓の形状や石灰化、周囲の血管との位置関係を確認するのに優れています。造影剤を使用することで、病気の広がりも評価しやすくなります。
・MRI検査
放射線被ばくがなく、小さな膵のう胞や膵管の状態などを詳しく確認できるのが特徴です。CTとMRIはそれぞれ得意分野が異なるため、目的に応じて使い分けられます。
・超音波内視鏡検査(EUS)
内視鏡の先端に超音波装置がついており、胃や十二指腸から膵臓に非常に近い距離でアプローチできる検査です。通常の腹部エコーでは見えにくい小さな病変も高い精度で捉えることができ、当院でも膵臓がんの超早期発見に活用している極めて有用な検査です。10mm以下の膵臓癌でも検出できる場合があります。
■ どのような人が詳しい検査を検討すべき?

膵臓がんは自覚症状が乏しいまま進行することが多く、「見つかりにくいがん」と言われています。以下のような項目に当てはまる方は、健診の結果だけに頼らず、専門医による詳しい検査を検討することをおすすめします。
・急な体重減少がある
・糖尿病が急に悪化した、または血糖コントロールが難しくなった
・原因不明の上腹部痛や背部痛がある
・家族に膵臓がんになった方がいる
・健診などで「膵のう胞」を指摘されたことがある
■ よくあるご質問(Q&A)

Q1:超音波内視鏡(EUS)検査はどこでも受けられますか?
A:EUSは非常に高度な技術を要するため、導入している施設は限られています。明石市内のクリニックで導入している施設は当院のみ(兵庫県下でも数件程度)です。当院では日本膵臓学会認定指導医であり、1,500件以上のEUS施行経験を持つ院長が自ら検査と診断を担当いたします。
Q2:EUS検査は痛いですか?苦しくないか不安です。
A:ご安心ください。当院では通常、鎮静剤・鎮痛剤を使用してウトウトと眠っているようなリラックスした状態で検査を行います。痛みや不快感を最小限に抑え、「気づいたら終わっていた」と感じる患者様がほとんどです。
Q3:背中の痛みと膵臓は関係がありますか?
A:はい、大いに関係があります。膵臓は胃の裏側(背中側)に位置するため、膵臓に異常があると、みぞおちだけでなく背中や腰に抜けるような鈍い痛みが出ることがあります。筋肉痛や寝違えと勘違いされやすいため、痛みが続く場合は消化器内科にご相談ください。
Q4:健診で「膵のう胞」があると言われました。すぐに手術が必要ですか?
A:ほとんどの膵のう胞は良性ですので、すぐに手術が必要になることは稀です。ただし、一部ののう胞(IPMNなど)は時間をかけてがん化するリスクがあるため、EUSなどの精密検査で「悪性化のサイン」がないかを正しく評価し、定期的な経過観察を行うことが重要です。
Q5:膵臓の健康管理に、歯科でのケアが関係あるというのは本当ですか?
A:はい、本当です。膵臓の機能が低下すると糖尿病のリスクが高まりますが、歯周病菌によるお口の中の炎症は、インスリンの働きを妨げて血糖値を上げ、糖尿病を悪化させることが医学的に分かっています。当院は「内科・歯科併設クリニック」ですので、膵臓の精密検査と同時に、歯科でお口の環境を整える「医科歯科連携」によるトータルサポートが可能です。
■ おわりに:気になる症状や不安は放置しないで

腹部エコー検査は素晴らしい検査ですが、限界があることも事実です。大切なのは、健診の結果だけでなく、ご自身の体の変化やリスク因子も含めて総合的に判断することです。
「健診で異常はなかったけれど、最近体調が気になる」「家族歴があって不安」という方は、どうぞ一人で悩まずにご相談ください。
当院では、内科としての専門的な診察や精密検査のご提案に加え、お口の健康を守る歯科を併設しております。膵臓の健康と深く関わる糖尿病や生活習慣の管理も含め、全身をトータルでサポートする医療を提供いたします。
気になる症状がある方は、お気軽に明石やまだ内科歯科クリニックへご相談ください。