【消化器病専門医が解説】脂肪肝は食事で治せる?肝臓をいたわる夏の食生活と最新知識

皆さま、こんにちは。
JR明石駅より徒歩5分、明石やまだ内科歯科クリニック院長の山田恭孝です。
「健診でエコーを受けたら脂肪肝と言われた」
「γ-GTPが高いと指摘された」
こんなお悩みで来院される方が増えています。 脂肪肝は適切な食事と生活習慣で改善できる段階が多いですが、放置すると肝硬変・肝がんに進行する危険があります。今回は、夏に乱れがちな食生活と合わせて、消化器病専門医がお伝えします。
■ 脂肪肝とは何か?MASLD(代謝機能障害関連脂肪肝疾患)最新知識

脂肪肝とは、肝細胞に中性脂肪が過剰に蓄積した状態です。以前は「NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)」と呼ばれていましたが、2023年に「MASLD(Metabolic dysfunction-Associated Steatotic Liver Disease:代謝機能障害関連脂肪肝疾患)」に名称が変更されました。
これは肥満・高血糖・脂質異常・高血圧などの代謝異常と合わせて評価する概念です。日本人の約30%が脂肪肝を持つとされ(日本消化器病学会)、増加の一途をたどっています。
■ 夏に脂肪肝が悪化しやすい理由

夏は脂肪肝が悪化しやすい季節です。以下の要因が重なることで、脂肪肝の患者様の数値が悪化しやすい時期と言えます。
・冷たいビール・アルコールの増加:アルコールは直接肝臓に負担をかけ、脂肪の蓄積を促します。
・清涼飲料水・果糖の摂取増加:フルーツジュース・スポーツドリンク・コーラなどの果糖(フルクトース)は、砂糖よりも肝臓への脂肪蓄積を起こしやすい特徴があります。
・暑さによる運動量の低下:運動不足はインスリン抵抗性を高め、肝臓への脂肪蓄積を促進します。
・クーラーによる代謝低下:体が冷えることで代謝が落ち、脂肪を溜め込みやすくなります。
■ 脂肪肝を改善する食事の5原則

・糖質(特に果糖・精製糖質)を減らす:白米より玄米・雑穀、清涼飲料水はお茶・お水に切り替えましょう。
・アルコールを1日20g以下に:ビール中瓶1本(500ml)で約20gです。週2日の休肝日を設けましょう。
・野菜・食物繊維を増やす:腸内細菌が産生する短鎖脂肪酸が肝臓の脂質代謝を改善します。
・EPA・DHAの多い魚を週2〜3回:サバ・イワシ・サーモンなどは肝臓の炎症を抑制します。
・コーヒーを1日2〜3杯:複数の研究でコーヒーが肝炎・肝硬変・肝がんのリスクを下げることが示されています(カフェインレスでも効果あり)。
■ 脂肪肝から肝硬変・肝がんへの進行を防ぐ

脂肪肝の患者様の一部は「MASH(代謝機能障害関連脂肪性肝炎)」に進行し、さらに肝硬変・肝がんへと移行します。 日本消化器病学会の「NAFLD/NASH診療ガイドライン2020」では、体重の5〜10%の減量で脂肪肝が改善することが示されています。当院では腹部エコーで定期的に肝臓の状態を評価し、進行度に応じた治療計画を立てています。
■ 脂肪肝と腸の関係——腸肝相関(Gut-Liver Axis)

腸と肝臓は門脈でつながっており、腸内細菌が作り出す物質(LPS・短鎖脂肪酸等)が肝臓に直接影響を与えます。腸内フローラの乱れ(ディスバイオーシス)が肝臓の炎症を引き起こすことが近年明らかになっており、これが「腸肝相関(Gut-Liver Axis)」です。 便通異常や腸内環境の悪化は、脂肪肝の悪化と密接に関連しているため、便通を整えることも肝臓ケアの重要な一環です。
■ よくあるご質問(Q&A)

Q1:脂肪肝は運動だけで治りますか?
A:軽度の脂肪肝は週150分以上の中強度有酸素運動で改善することがあります。ただし、当院が推奨する「カーボラスト(炭水化物を最後に食べる)」などの食事改善と組み合わせる方が、効果ははるかに大きくなります。
Q2:健康診断でγ-GTPが高いと言われましたが、自覚症状はありません。受診は必要ですか?
A:γ-GTP単独の上昇でも、アルコール性肝障害・脂肪肝・胆道疾患が隠れていることがあります。肝臓は「沈黙の臓器」ですので、症状がなくても一度腹部エコー検査を受けることをお勧めします。
Q3:腹部エコー検査はどのような検査ですか?時間はかかりますか?
A:腹部エコー検査は、お腹にゼリーを塗って機器を当てるだけの、痛みが全くない検査で10〜15分程度で終わります。一般的に腹部エコーによる脂肪肝の診断は色で判断することが多いですが、これは施行者の主観による判断になり客観性に乏しいことが多くあります。
当院では最新のエコー機器(ARIETTA850)を導入しており、脂肪肝の程度を「iATT」という指標で客観的に数値化し判断することが可能です。また改善度を正確に評価することも可能です。
Q4:病院に行けば、すぐに詳しい血液検査の結果が分かりますか?
A:はい、分かります。当院には迅速血液検査機が常設されており、肝機能(γ-GTPなど)や脂質、糖尿病の重要な指標である「HbA1c」などの結果が最短15分程度で判明します。その日のうちに現在の状態をご説明し、対策を立てることができます。
Q5:脂肪肝の改善に、歯科でのケアが関係あるというのは本当ですか?
A:はい、本当です。歯周病菌によるお口の中の炎症は、インスリンの働きを妨げて血糖値を上げ、脂肪肝を悪化させることが医学的に分かっています。当院は「内科・歯科併設クリニック」ですので、内科での脂肪肝治療と同時に、歯科でお口の環境を整える「医科歯科連携」によるトータルサポートが可能です。
■ おわりに:脂肪肝・肝機能の異常は当院へ

脂肪肝・γ-GTP異常・肝機能障害にお悩みの方は、「ただ太っただけ」と放置せず、明石やまだ内科歯科クリニックにご相談ください。
当院では消化器病専門医が、最新の腹部エコーで肝臓の状態を詳しく数値化して評価し、患者様のライフスタイルに合わせた食事指導や適切な治療をサポートいたします。気になる数値がある方は、健診結果をお持ちの上、どうぞお気軽にご来院ください。