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【H. pylori感染症認定医が解説】慢性胃炎・萎縮性胃炎とピロリ菌の深い関係

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 JR明石駅より徒歩5分、明石やまだ内科歯科クリニック院長の山田恭孝です。

「健康診断の胃カメラで、慢性胃炎や萎縮性胃炎と言われた」という経験をお持ちの方は多いと思います。実は、慢性胃炎の大部分は「ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)」の感染によって引き起こされます。

ピロリ菌による慢性胃炎は、長い年月をかけて胃の粘膜をペラペラに萎縮させ(萎縮性胃炎)、やがて胃がんへと進展するリスクがあります。 日本は胃がんの罹患率が高い国ですが、その背景にはピロリ菌感染率の高さがあります。特に50〜70代の日本人は感染率が高く、多くの方が慢性胃炎・萎縮性胃炎を抱えています。

今回は、慢性胃炎・萎縮性胃炎とピロリ菌の関係、そして適切な管理について、「日本ヘリコバクター学会 H. pylori感染症認定医」の視点から解説します。

ピロリ菌感染から胃がんへの進展過程

ピロリ菌は、胃の強酸性の環境でも「ウレアーゼ」という酵素を出して生存できる特殊な細菌で、胃粘膜に住みついて慢性的な炎症を引き起こします。

ピロリ菌に感染すると、「慢性活動性胃炎」から始まり、「萎縮性胃炎」、そして胃粘膜が腸の粘膜のような性質に変化する「腸上皮化生(ちょうじょうひかせい)」を経て、「胃がん」へと段階的に進展していくことが明らかになっています。

萎縮性胃炎とは、胃粘膜の厚みが薄くなって、胃酸を分泌する腺細胞が減少した状態です。萎縮が進んで腸上皮化生が生じると、がん化のリスクはさらに高まります。萎縮の範囲が広いほど、胃がんのリスクが高くなることが分かっています。

ピロリ菌感染者の胃がん発生リスクは、非感染者の約5〜10倍と言われています。ただし、ピロリ菌に感染していても実際に胃がんになるのは感染者全体の数%であり、お薬による「除菌治療」を行うことで、そのリスクを大幅に下げることができます。

ピロリ菌の検査と診断

ピロリ菌の検査方法には複数あります。胃カメラを受けた際に行える「迅速ウレアーゼ試験」「生検培養」「病理組織検査」や、胃カメラなしで行える「尿素呼気試験」「便中抗原検査」「血清抗体検査」などがあります。

この中で最も信頼性が高いのは「尿素呼気試験」です。特殊な薬を飲んで呼気を採取するだけで、感度・特異度ともに優れた検査です。胃カメラ施行日に同時に検査することも可能です。なお、血清抗体検査は過去に感染していた場合(すでに除菌済みでも)陽性に出ることがあるため、現在の感染状況の確認には不向きな場合があります。

除菌治療後の効果判定には、すべてのお薬を飲み終えてから4週間以上経過した後に、尿素呼気試験または便中抗原検査で確認します。胃酸分泌抑制薬(PPIなど)を内服していると、感染しているのに陰性になってしまう「偽陰性」になることがあるため、検査前はお薬を一時休薬する必要があります。

ピロリ菌除菌治療と除菌後の管理

ピロリ菌の除菌治療は、現在保険適用で行うことができます。一次除菌では、胃酸の分泌を抑えるお薬(PPIなど)と2種類の抗生物質(アモキシシリン・クラリスロマイシン)を、1日2回、7日間連続で内服します。除菌成功率は約70〜80%です。

もし一次除菌に失敗した場合は、お薬の種類を変えた二次除菌(クラリスロマイシンをメトロニダゾールに変更)を行います。二次除菌までをきちんと行えば、約90〜95%の確率で除菌が成功します。

除菌後は、萎縮性胃炎がある程度改善する可能性がありますが、すでに進行してしまった萎縮や腸上皮化生は完全には回復しません。除菌によって胃がんリスクは確実に下がりますが、決して「ゼロ」になるわけではないのです。 そのため、除菌成功後も1〜2年ごとの定期的な胃カメラによる経過観察が推奨されます。特に、萎縮の範囲が広い方や腸上皮化生が広範囲に及んでいる方は、定期検査が必須です。

また、除菌治療によって、消化性潰瘍(胃潰瘍・十二指腸潰瘍)の再発率が激減することや、胃のリンパ腫の一種(MALTリンパ腫)が改善することも知られています。ピロリ菌の除菌は、胃がん予防や胃のトラブル解消の観点から非常に重要な治療です。

よくあるご質問(Q&A)

Q1:ピロリ菌の検査は採血だけでできますか?

A:採血や呼気検査などで簡単に調べることは可能ですが、当院ではまず「胃カメラ」で胃粘膜の状態(萎縮性胃炎の程度や、胃がんが隠れていないか)を直接観察し、感染が疑われた場合に確定診断のための検査を行うことを推奨しています。

Q2:除菌の薬を飲み忘れた場合はどうすればいいですか?

A:気づいた時点で1回分を飲んでください。ただし、次の服用時間が近い場合は忘れた分は飛ばし、次回の分から再開してください。自己判断で服用を中止すると、除菌に失敗し、治療薬に耐性を持ったピロリ菌が現れる恐れがありますので、必ず最後まで飲み切ることが重要です。

Q3:胃カメラは苦しいイメージがあり、苦手です。

A:当院では、患者様の苦痛を最小限に抑えるため、ご希望に応じて鎮静剤を使用し、ウトウトと眠っているようなリラックスした状態で検査を行っています。また、嘔吐反射が強い方には鼻から入れる極細のカメラ(経鼻内視鏡)を選択することも可能ですので、安心してお任せください。

Q4:ピロリ菌の除菌治療中に気をつけることはありますか?

A:治療中の7日間は、アルコール(お酒)の摂取を絶対に避けてください。特にお薬との飲み合わせにより、激しい吐き気や顔のほてり、頭痛、動悸といった非常に苦しい症状(ジスルフィラム様反応)が現れる危険性があります。

Q5:ピロリ菌の予防に、歯科でのケアが関係あるというのは本当ですか?

A:はい、本当です。ピロリ菌は口を介して感染(経口感染)すると考えられており、お口の衛生状態を保つことが胃腸の健康を守るベースになります。当院は「内科・歯科併設クリニック」ですので、内科での胃カメラや除菌治療と並行して、歯科でお口の環境を清潔に保つ「医科歯科連携」によるトータルサポートが可能です。

おわりに:胃のトラブルは当院へご相談ください

ピロリ菌感染による慢性胃炎・萎縮性胃炎は、胃がんの重要なリスクです。ピロリ菌の検査、除菌治療、そして除菌成功後の定期的な胃カメラによる経過観察が、胃がんの予防に直結します。

「ピロリ菌の検査を受けたことがない」「健診の胃カメラで萎縮性胃炎と言われた」という方は、ぜひ明石やまだ内科歯科クリニックにご相談ください。 当院では、「日本ヘリコバクター学会 H. pylori感染症認定医」ならびに「消化器内視鏡専門医」が、専門的な知見に基づき、苦痛の少ない検査と的確な治療で皆様の胃の健康をお守りいたします。

明石やまだ内科歯科クリニック