【医師が解説】「風が吹くだけで痛い」痛風は夏に増加?足の違和感や尿酸値のサインとは

皆さま、こんにちは。
JR明石駅より徒歩5分、明石やまだ内科歯科クリニック院長の山田恭孝です。
古くから知られる生活習慣病の一つである「痛風」。
病名の由来は「風が吹いただけで痛みを感じる」ほど激しい痛みにあると言われています。30代から40代の男性に多く発症し、食生活や飲酒習慣と深く関わっていることはよく知られていますが、実は夏場には発作のリスクがさらに高まることをご存知でしょうか。今回は、痛風の原因や夏に増える理由、そして見逃してはいけない初期サインについて解説します。
■ 痛風の正体は「尿酸の結晶化」

関節に強い炎症と痛みを引き起こす痛風の典型的な症状は、足の親指の付け根あたりに現れる激しい痛みです。
その根本的な原因は「尿酸」にあります。尿酸が血液中に過剰に蓄積されると、関節の中で結晶化します。この結晶が関節を刺激し、炎症や腫れ、激しい痛みを引き起こすのです。
発症の大きな引き金となるのが、食事や飲み物に含まれる「プリン体」です。プリン体は肉やビールなどに多く含まれる旨味成分ですが、過剰に摂取すると肝臓で代謝されたあとの尿酸が体内に蓄積されてしまいます。
血中の尿酸値が7.0mg/dLを超えると、血液に溶けきれなくなった尿酸が結晶化し始めます。いつ発作が起きてもおかしくない状態とされており、この数値を超える状態が続くと発症の可能性が上がります。
■ 夏は「発作のシーズン」!脱水と飲み物に要注意

痛風の発作は、実は夏場に起こりやすい傾向があります。その最大の理由は暑さそのものではなく「脱水」です。
暑い時期は発汗によって体内の水分が失われやすく、脱水気味になると血液が濃縮されて血中の尿酸濃度も上昇します。さらに、腎臓の働きも低下しやすくなるため、尿酸が体内にたまりやすい悪条件が重なります。例えば、夏の暑い時期に屋外でBBQをしてお酒を楽しむようなシーンは、痛風のリスクを大いに伴うため注意が必要です。
■ 見逃してはいけない「初期のサイン」

痛風の発作は突然起こるように思われがちですが、実際には段階的に変化します。
最初は「足の指がむずむずする」「ちょっと違和感のあるような、ズキズキした感じ」といった軽いサインから始まります。それを放置すると次第に強い痛みへと変わり、1〜2週間ほど足全体が赤く腫れ上がり、歩行が困難になることもあります。「ちょっと触れただけでも痛く、動けない」という状態に至ることも珍しくありません。
女性は女性ホルモンの働きによって尿酸の排泄が促されるため比較的起きにくいとされていますが、30代から40代の男性を中心に、こうした違和感がある場合は特に警戒が必要です。
■ 日常生活でできる予防法

痛風のリスクを下げるためには、生活習慣の改善が不可欠です。
・アルコールの制限と休肝日: 「ビールはやめてハイボールなら大丈夫」「ハイボールなら尿酸値は上がらない」と思われている方が意外と多いです。ただ、それは間違いです。ビールはハイボールと比較してプリン体が多く含まれているため尿酸値が上昇しやすい傾向がありますが、アルコールそのものが尿酸値を上げる働きがあるため、飲み過ぎには注意が必要です。決してハイボールなら大丈夫というわけではありません!!
・適切な水分補給: 脱水を防ぎ、血中尿酸濃度の上昇を抑えるために、1日2リットルを目安に水分を摂りましょう。ジュースなどは果糖が含まれており逆効果になるため、水や麦茶がおすすめです。
・海藻類の積極的な摂取: ワカメやひじきなどに含まれるミネラルには、尿酸の排泄を促し、尿をアルカリ化して尿酸を溶けやすくする効果が期待できます。
■ よくあるご質問(Q&A)

Q1:痛風の発作が起きた時の応急処置を教えてください。
A:患部を保冷剤などで冷やし、心臓より高い位置に上げて安静にすることが大切です。お風呂で温めたり、マッサージをして揉みほぐしたりすると、血行が良くなって炎症が広がり、痛みが悪化するため絶対に避けてください。
Q2:プリン体ゼロのビールやハイボールなら、いくら飲んでも痛風にはなりませんか?
A:「プリン体ゼロなら安心」は大きな誤解です。アルコールそのものに、肝臓で尿酸をたくさん作らせ、腎臓からの尿酸排泄をストップさせる働きがあるため、お酒の種類に関わらず飲みすぎは痛風のリスクを高めます。
Q3:夏の水分補給として、スポーツドリンクを毎日飲んでもいいですか?
A:痛風予防の観点からはおすすめできません。スポーツドリンクやジュースに含まれる「果糖」は、体内で分解される時に尿酸を発生させます。日常的な水分補給は、お水や麦茶などをお選びください。
Q4:健康診断で尿酸値が「7.2」でした。すぐに薬を飲まないといけませんか?
A:必ずしもすぐに薬が必要とは限りませんが、尿酸値が7.0mg/dLを超えると結晶化が始まるため放置は危険です。当院には迅速血液検査機があり、当日の正確な数値を把握した上で、まずは患者様のライフスタイルに合わせた食事や生活習慣の改善から無理なくサポートいたします。
Q5:痛風予防と、歯科でのケアに関係はありますか?
A:はい、関係があります。痛風を防ぐためには、野菜や海藻をしっかり食べて尿をアルカリ性に保つなど、バランスの良い食事が欠かせません。当院は「内科・歯科併設クリニック」ですので、何でも美味しく噛める健康な歯を維持する歯科ケアと、内科での尿酸値コントロールを連携して行う「医科歯科連携」のサポートが可能です。
■ おわりに:まずは尿酸値のチェックから

痛風を予防・早期発見するための第一歩は、定期的な健康診断での尿酸値の確認です。血中尿酸値が7.0mg/dLを超えている場合は、自覚症状がなくても注意が必要です。
「足の指がムズムズする」「健診で尿酸値が高いと言われた」「最近太ってきた」といった体のサインを見逃さず、早めに医療機関へご相談ください。当院では内科の診療を通じて、生活習慣病の管理や適切なアドバイスを行っております。また、歯科を併設しているため、お口の健康管理も含めたトータルなサポートが可能です。
健診結果が気になる方は、どうぞお気軽に明石やまだ内科歯科クリニックへお越しください。