【内視鏡専門医が解説】東野圭吾さんの訃報に学ぶ、大腸がんの「初期症状」と40歳からの検診の重要性

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JR明石駅より徒歩5分、明石やまだ内科歯科クリニック院長の山田恭孝です。
7月23日、日本を代表するミステリー作家である東野圭吾さんが、大腸がんのため68歳で逝去されたという、大変ショッキングで悲しいニュースが報じられました。『容疑者Xの献身』や『新参者』『ガリレオ』シリーズなど、数多くの素晴らしい作品を生み出してこられた偉大な作家の早すぎる死に、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
この訃報を受け、著名人やファンの方々から悲しみの声が広がるとともに、SNS等では「大腸がんの検診を受けよう」という呼びかけも見られます。今回は、大腸がんの初期症状や痛みを感じる部位、そして早期発見の鍵となる検診の重要性について、消化器病専門医・内視鏡専門医の視点から解説します。
■ 大腸がんは「症状が出にくい」がんです

大腸がんは、日本人のがん罹患数(男女計)で1位となる非常に身近な病気です。食の欧米化などに伴い、40歳を過ぎた頃からリスクが上昇し始めます。
最も恐ろしい特徴は、「早期の段階ではほとんど自覚症状がない」ということです。しかし進行するにつれて、以下のようなサインが現れ始めます。
・波のある腹痛:がんそのものの痛みよりも、腸管がひきつれることで「痛い時」と「治まる時」を繰り返す波のある痛みが生じます。
・血便:がんの表面は出血しやすく、便に血が混じります。目に見えない微量の出血であることも多いです。
・便の習慣の変化:腸の中が狭くなることで、便秘がちになる、便が細くなる、下痢を繰り返すなどの変化が起きます。
・吐き気・嘔吐:進行して腸が塞がってしまう(腸閉塞)と、お腹が張って吐き気をもよおします。
・お腹のしこり:がんが大きくなると、お腹の上からしこりとして触れることがあります。
■ 痛みを感じる部位はどこ?

大腸はお腹の中をぐるりと囲むように位置しているため、がんができる場所によって痛みを感じる部位も異なります。
・お腹の右側・左側(盲腸、上行結腸、下行結腸など)
・みぞおち・下腹部(横行結腸、S状結腸など)
・肛門周辺(直腸など)
ただし、これらの痛みは胃腸炎や虚血性大腸炎、痔など他の病気でも起こるため、症状だけで「大腸がんだ」と確定することはできません。少しでも違和感が続く場合は、自己判断せずに消化器内科を受診してください。
■ 大腸がんのリスクを高める5つの要因

大腸がんの発症には、日々の生活習慣が深く関わっています。ご自身に当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
- たばこ:発がん性物質が含まれており、大腸がんのリスクを明確に引き上げます。
- 過剰な飲酒:アルコールの分解物質ががん発生に関与すると考えられています。
- 肥満:BMI25以上の方は要注意です。体重が増えるほどリスクも上昇します。
- 糖尿病:高血糖による細胞へのストレスががん化の原因の一つとされています。
- 大腸ポリープ:がんの多くはポリープ(腺腫)が成長して発生します。
これらのリスク因子をお持ちの方は、より一層の注意と定期的な検査が必要です。
■ 命を守るための「40歳からの便潜血検査と大腸カメラ」

大腸がんは、早期に発見できれば治癒の可能性が非常に高い病気です。国立がん研究センターでも、40歳になったら年に1度の「大腸がん検診(便潜血検査)」を受けることが強く推奨されています。
便潜血検査は、2日分の便を採取し、目に見えない微量の血液が混じっていないかを調べる簡単な検査です。ここで最も重要なポイントは、「1日分でも陽性になったら、必ず精密検査(大腸カメラ)を受ける」ということです。
大腸がんは毎日出血しているわけではないため、「たまたま1日だけ血が混じったのだろう」と自己判断して再検査で様子を見るのは非常に危険です。血便や腹痛などの自覚症状がある場合は、検診の時期を待たずにすぐ医療機関を受診してください。
■ よくあるご質問(Q&A)

Q1:便潜血検査が陰性なら、大腸がんは心配ないですか?
A: 便潜血検査は手軽で有効な検査ですが、がんやポリープがあっても出血していなければ「陰性」となってしまうことがあります。実際、大腸癌の検出率(実際に大腸癌がある場合に検査が陽性となる確率)は約70-85%と言われており、大腸カメラの大腸癌検出率95-99%以上という報告と比較すると低いものになります。
早期がんを見逃さないためには、直接腸の中を観察する「大腸カメラ」が最も確実です。
Q2:大腸カメラを受けたいのですが、痛そうで不安です…。
A: 当院では、患者様の苦痛を最小限に抑えるため、鎮静剤を使用しウトウトと眠っているようなリラックスした状態で検査を行っています。また、検査後のお腹の張りを軽減する炭酸ガス(CO2)送気も導入しており、経験豊富な内視鏡専門医・指導医が安全かつスムーズに検査を担当いたします。
Q3:もし検査でポリープが見つかったらどうなりますか?
A: 大腸がんの多くはポリープ(前がん病変)が成長して発生します。当院では検査中に将来がんになる可能性のあるポリープが見つかった場合、形態や大きさの条件を満たせば、その場で切除する「日帰り手術」が可能です。この段階で摘み取ることが、最大の大腸がん予防になります。
Q4:大腸がんは若い人でもなるのでしょうか?
A: 大腸がんのリスクは40代から急激に上昇しますが、近年は食生活の欧米化などにより、20代〜30代の若い世代でも発症する方が増えています。血便や便秘、下痢などの便通異常が続く場合は、年齢に関わらず早めの検査をお勧めします。
Q5:生活習慣以外で、大腸がん予防のためにできることはありますか?
A: 実は「お口のケア」が非常に重要です。近年の研究で、歯周病菌(フソバクテリウム)が唾液と一緒に飲み込まれて大腸へ届くと、大腸がんの増殖を加速させることが分かっています。当院は「内科と歯科を併設しているクリニック」です。内視鏡検査でお腹の中の病変をチェックし、歯科検診でお口の中の悪玉菌を減らす「医科歯科連携」のダブルのアプローチで、全身の健康をサポートいたします。
■ おわりに

数々の名作を世に送り出した東野圭吾さんの訃報は、私たちに深い悲しみをもたらしましたが、同時に「ご自身の腸の健康」を見直すきっかけにしていただければと思います。
当院では、内視鏡専門医による苦痛を最小限に抑えた大腸カメラ(大腸内視鏡検査)を行っております。「健診で陽性になった」「最近お腹の調子が悪い」「年齢的に一度しっかり検査しておきたい」という方は、どうぞお早めに明石やまだ内科歯科クリニックへご相談ください。