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膵臓がんと診断された方へ。希望につなぐ食事の工夫と専門家からのアドバイス

「膵臓がん」と診断され、これからの治療や日々の生活、特に「食事」について大きな不安を抱えていらっしゃる方は少なくないでしょう。

「何を食べたら良いのだろう?」

「治療中の体力を維持するにはどうすれば?」

「食欲がない時はどうしたら…?」

この記事は、そのようなお悩みを持つ患者様や、それを支えるご家族様のために、膵臓がんと向き合う上での「食事の役割」と「具体的な工夫」について、専門的な情報と患者様のリアルな声を交えながら、分かりやすく解説します。

食事は、治療を乗り越えるための大切な土台であり、日々の生活に希望をもたらす力にもなります。一人で悩まず、一緒に学んでいきましょう。

なぜ膵臓がんでは「食事」が重要なのでしょうか?

膵臓は、私たちが食べたものを消化するための「消化酵素」を出したり、血糖値をコントロールする「インスリン」というホルモンを分泌したりする、非常に重要な臓器です。

膵臓がんになると、この膵臓の働きが低下し、食べ物の消化や栄養の吸収が難しくなることがあります。また、手術や抗がん剤などの治療も、食欲不振や消化機能に影響を与えることがあります。

だからこそ、治療に耐えられる体力を維持し、免疫力を保つために、膵臓に負担をかけず、かつ栄養価の高い食事を摂ることが非常に重要になるのです。

膵臓がんの「予防」と「リスク管理」のために心がけたい食生活

膵臓がんの発症リスクを確実に下げる食事が証明されているわけではありません。しかし、研究により、膵臓に負担をかける可能性のある食事や、逆に膵臓をいたわる食事が分かってきています。

 

リスクを高める可能性があるとされる食事

普段の生活から、以下の食事の摂りすぎには注意しましょう。

  • 赤肉・加工肉:牛肉、豚肉、ベーコン、ソーセージなど
  • 高脂肪食:揚げ物、脂身の多い肉、生クリームなど
  • 糖分の多い食品や飲料:ケーキ、菓子パン、甘いジュースなど
  • アルコール:過度な飲酒は、膵炎などを引き起こし、膵臓がんの大きなリスクとなります。

 

予防につながる可能性があるとされる食事

日々の食事に積極的に取り入れたい食品です。

  • 色とりどりの野菜や果物:抗酸化物質が豊富で、細胞を守る働きが期待されます。ブロッコリーやほうれん草、にんじん、ベリー類などがおすすめです。
  • 全粒穀物:玄米、オートミール、全粒粉パンなどは、食物繊維が豊富で血糖値の急な上昇を抑え、膵臓への負担を和らげます。
  • 良質な脂質:オリーブオイル、アボカド、サバやイワシなどの青魚、くるみなどに含まれる不飽和脂肪酸は、体の炎症を抑える助けになります。
  • 良質なタンパク質:鶏むね肉(皮なし)、魚、卵、豆腐などの大豆製品は、体力維持に欠かせません

治療中を支える食事の工夫

治療中は、副作用などによって食事が思うように進まないことも多くあります。そんな時は、以下のポイントを参考に、できることから試してみてください。

 

ポイント①:消化の良いものを、調理法を工夫して

脂質の多い食事は膵臓に負担をかけるため、「蒸す」「煮る」「茹でる」といった調理法がおすすめです。食材を細かく刻んだり、柔らかく煮込んだりすると、さらに消化しやすくなります。

 

ポイント②:良質なタンパク質で体力の基礎を

細胞の修復や免疫機能の維持にタンパク質は不可欠です。脂肪分の少ない鶏ささみや白身魚、卵、豆腐などを積極的に摂りましょう。

 

ポイント③:水分補給を忘れずに

脱水は治療中の体にとって大きな負担です。一度にたくさん飲むのが難しければ、こまめに水分を摂ることを心がけましょう。水やお茶のほか、栄養のあるスープやブロス(だし汁)も良い選択です。

【まとめ】

希望を支える食事のために、一人で悩まないで

経験豊富な医師による専門的な治療

膵臓がんと向き合う中での食事は、時に大きな悩みとなります。しかし、様々な工夫によって、食事は治療を支え、日々の楽しみや生きる希望にもなり得ます。

まずは、ご自身がどうありたいか、どんな希望を持っているかを大切にしてください。

そして何より、食事のことでつらい時、悩んだ時には、決して一人で抱え込まないでください。主治医の先生や、食事の専門家である管理栄養士に相談することが、解決への第一歩です。

私たち、明石やまだ内科歯科クリニックも、患者様一人ひとりに寄り添い、医学的なサポートはもちろん、生活の質を高めるためのお手伝いをしたいと考えております。どんな些細なことでも、お気軽にご相談ください。

明石やまだ内科歯科クリニック