「真夏のインフルエンザ」に要注意!8月から感染増加中。原因と今すぐできる対策を内科医が解説

皆さま、こんにちは。
JR明石駅より徒歩5分、明石やまだ内科歯科クリニック院長の山田恭孝です。
厳しい残暑が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。
例年、インフルエンザといえば冬(12〜3月)の病気というイメージをお持ちの方が多いかと思います。しかし今年2026年の夏も、8月上旬の時点で全国6県(青森・埼玉・千葉・東京・神奈川・沖縄)が「流行開始の目安」を超えるなど、季節外れのインフルエンザが広がっています。
「まさか夏にインフルエンザ?」と思われるかもしれませんが、これには明確な理由があります。本記事では、夏のインフルエンザが増える背景・注意すべき変異株・今すぐできる予防策について、内科医の立場からわかりやすく解説します。
■1.いま何が起きている?最新の感染状況

厚生労働省の発表によると、2026年8月10日〜16日の1週間で、全国の定点医療機関から報告されたインフルエンザの感染者数は1医療機関あたり0.69人(前週0.52人より増加)でした。
全国平均ではまだ「流行期入りの目安」である1.0人を下回っていますが、以下の都道府県では既に目安を超えています。
・沖縄県:2.89人
・青森県:1.71人
・埼玉県:1.7人
・神奈川県:1.37人
・東京都:0.91人(目安に近い水準)
なお、インフルエンザの流行レベルは定点あたりの報告数で判断されます。1.0人以上で「流行期入り」、10人以上で「注意報」、30人以上で「警報」レベルとなります。
去年(2025年)は例年より約1ヶ月早い10月に全国的な流行シーズンに入っており、今年も早い動きが懸念されます。
■2.なぜ夏にインフルエンザが流行するのか?

インフルエンザは冬だけの病気ではありません。夏に感染が広がる理由は主に3つあります。
① 南半球からのウイルス流入
地球の反対側にある南半球(オーストラリア・南米など)では、日本の夏が南半球の冬にあたります。そのため南半球でインフルエンザが流行しているシーズン中に、現地からの旅行者がウイルスを持ち込むことが起きやすくなります。夏休みシーズンで海外旅行・国内旅行が増えることも、人から人へのウイルス拡散を後押しします。
② 猛暑による換気不足と免疫低下
暑さを避けて屋内で過ごす時間が増えると、エアコンをかけたまま窓を閉め切るケースが多くなります。換気が不十分な密閉空間では、飛沫や空気感染のリスクが高まります。また、猛暑そのものによる疲労や睡眠不足が体の免疫機能を低下させ、感染しやすい状態を作ることも知られています。
③ 新しい変異株「サブクレードK」の存在
今年特に注目すべきなのが、インフルエンザA型の変異株「サブクレードK」です。この株は昨年(2025年)秋以降に国内で感染拡大し、今年(2026年)は6〜8月にかけて南半球の国々で流行しています。
「サブクレードK」は変異株のため、これまでのワクチンの効果が出づらく、抗体を持っていない人が多いという特徴があります。そのため、例年のインフルエンザよりも感染が広がりやすい傾向があり、注意が必要です。
■3.インフルエンザの症状と風邪との見分け方

インフルエンザと普通の風邪の最大の違いは「発症のスピード」と「全身症状の強さ」です。
インフルエンザは、突然の高熱(38〜40℃)、強い頭痛・筋肉痛・関節痛、強い倦怠感(体のだるさ)が特徴で、通常の風邪に比べて全身症状が急激かつ強く現れます。のどの痛みや鼻水・咳といった上気道症状は、風邪より軽いか後から出ることが多いです。
「いつもの夏バテかな」と思っていたら高熱が出た、という経過はインフルエンザのサインです。夏場でも疑わしいと思ったら早めに受診してください。
■4.いま実践して欲しい予防対策

インフルエンザワクチンは多くの自治体で10月頃から定期接種が開始されます。それまでの間は、以下の基本的な感染対策が特に重要です。
① 手洗い・手指衛生
流水と石鹸による手洗いは、ウイルスを物理的に除去する最も確実な方法です。帰宅後・食事前・トイレ後は必ず行いましょう。アルコール消毒も有効です。
② こまめな換気と適切な湿度管理
エアコンを使用していても、定期的に窓を開けて空気の入れ替えを行いましょう。1時間に1回程度、5〜10分を目安に換気することをお勧めします。また、空気が乾燥すると気道粘膜の防御機能が低下するため、加湿器などを活用して室内の湿度を50〜60%に保つことも効果的です。
③ マスクの着用
人混みや屋内での密閉空間では、マスクを着用することで飛沫感染のリスクを下げることができます。特に体調が優れないときや、ハイリスクの方(高齢者・基礎疾患のある方・妊婦さん)は積極的に着用しましょう。
④ 十分な休養と栄養
免疫機能を維持するために、睡眠不足・過労・偏食は避けましょう。バランスの良い食事と十分な睡眠が、感染に対する体の抵抗力を高めます。
⑤ 10月になったらワクチン接種を
インフルエンザワクチンは、発症リスクの低下と重症化防止に有効です。65歳以上の方および一定の障害のある60〜64歳の方は定期接種(公費助成)の対象となります。接種開始時期が決まりましたら、院内掲示やSNSにてご案内いたします。
■5.「お口のケア」もインフルエンザ予防につながります

当院が大切にしている「医科歯科連携」の観点から、インフルエンザ予防に歯科ケアが深く関わることをご存知でしょうか。
お口の中に歯周病菌が多く存在すると、インフルエンザウイルスが気道の粘膜に侵入しやすくなることが研究により示されています。歯周病菌が産生する酵素が、ウイルスの感染を助ける「足がかり」を作ってしまうためです。
逆に言えば、日々の丁寧な歯磨きと定期的な歯科検診でお口を清潔に保つことは、インフルエンザをはじめとするウイルス感染の予防に直結します。
当院は内科と歯科が同一クリニックに併設されています。「内科でインフルエンザを予防・診断しながら、歯科でお口の環境を整える」というトータルな健康管理が、当院ならではの強みです。感染症が気になる季節だからこそ、ぜひ歯科の定期検診もあわせてご活用ください。
■よくあるご質問(Q&A)

Q1:夏のインフルエンザは病院で検査できますか?
A:はい、当院では迅速抗原検査(鼻腔拭い)でインフルエンザの診断が可能です。発熱から12〜24時間以内は陰性になりやすいとされていますが、当院では発症早期(6時間程度)でも検出が可能とされるドライケムIMMUNO AG2という測定器を導入しております。
Q2:インフルエンザと診断されたら、何日間休めばよいですか?
A:学校保健安全法では「発症後5日を経過し、かつ解熱後2日(幼児は3日)」が出席停止期間と定められています。社会人の場合は法的な基準はありませんが、同様の期間を目安に自宅療養することが二次感染防止の観点から推奨されます。
Q3:今年のインフルエンザに去年のワクチンは効きますか?
A:「サブクレードK」のような変異株に対しては、既存ワクチンの効果が一部低下する可能性が指摘されています。ただし重症化防止には一定の効果が期待できますので、10月以降は接種をお勧めします。
Q4:発熱外来は予約が必要ですか?
A:発熱・感染症疑いの方は、他の患者様への感染拡大防止のため、事前にお電話にてご連絡の上ご来院ください。受付スタッフが適切にご案内いたします。
■おわりに

「夏だからインフルエンザは大丈夫」という思い込みは、今年は特に危険です。変異株の流行により、これまで以上に注意が必要なシーズンになる可能性があります。
発熱・強い倦怠感・頭痛・筋肉痛が突然現れた場合は、たとえ夏であってもインフルエンザを疑い、早めに内科を受診してください。
当院では発熱外来・感染症診断に対応しております。症状のある方はまずお電話またはLINEにてご連絡ください。