旬の味覚に潜む落とし穴?アニサキスにご用心!
スーパーでの衝撃事例と正しい対処法
こんにちは、明石やまだ内科歯科クリニックです。
明石市やその周辺にお住まいの皆様、秋の訪れとともに、サンマや秋鮭など美味しい魚が食卓に並ぶ季節となりましたね。しかし、この旬の味覚には、思わぬ「同居人」が潜んでいることがあります。それが、胃に激痛をもたらす寄生虫、アニサキスです。
最近、SNS上では「生サンマ寿司食べて寝落ちしたら、夜に胃の不快感で目覚めて……」という壮絶な体験談が話題になりました。腹部に激痛が走り、体内からアニサキスが発見されたとのことです。さらに衝撃的なことに、別のケースではスーパーの秋鮭の切り身のトレー内で、「めちゃデカイアニサキス」が「うにょうにょしとった」という光景が目撃され、ネット上で大きな話題を呼んでいます。
今回は、このような身近な場所でも起こりうるアニサキス被害の現実と、安心してお魚を楽しむための正しい知識と対処法をお伝えします。
アニサキス症の概要と事例:生魚を楽しむ際の現実
例えば、自宅で調理した生サンマ寿司を食べた方が夜中に「みぞおちをえぐり、突き刺すような、キリキリした痛み」で目覚め、医療機関でアニサキスが発見されたという話があります。
この方は、保険適用で1万円強の治療費で内視鏡による摘出を受け、すぐに強い痛みはひいたものの、しばらく炎症が残ったそうです。芸能人の熊谷真美さんもアニサキス症で救急搬送され、激痛に苦しんだ経験を明かしており、その恐ろしさを「こんなに痛いの。アニサキス」と語っています。
そして今回、さらに多くの人々に「やっぱおるんやね…」「怖いですね」と衝撃を与えたのが、スーパーで販売されていた秋鮭の切り身から生きたアニサキスが発見されたという事例です。投稿者は「魚コーナーを見ていたらアニサキスがうにょうにょ動いていました。実際見たのは初めてだったのでびっくりした」と語っています。この光景は多くの消費者に「加熱したら大丈夫と言われても、いざあれを見ると買う気はなくなる」という正直な心境を吐露させました。魚の身や内臓には見えないアニサキスが潜んでいることもあり、「気づかないうちにたくさん食べている」というコメントも寄せられましたが、やはり目に見えると心理的な抵抗感は大きいものです。
アニサキスが寄生する魚介類は、サバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、ヒラメ、マグロ、イカなど多岐にわたります。特に、旬のサンマや鮭は、新鮮なものほど生で食べたくなるものですが、同時にアニサキスのリスクも伴うことを忘れてはなりません。
アニサキス症の原因と症状
アニサキス症は、これらの魚介類に寄生するアニサキス幼虫を生(または不十分な冷凍・加熱)で食べることによって引き起こされる食中毒です。通常、幼虫は魚介類の内臓表面にいますが、魚が死んで時間が経過すると筋肉に移動することが知られています。
生きたアニサキス幼虫が胃壁や腸壁に刺入すると、食後1時間から数日で激しい腹痛が出現します。特徴的なのは「みぞおちをえぐり、突き刺すような、キリキリした痛み」で、通常の胃痛や胸焼けとは明らかに異なると言われます。吐き気や嘔吐を伴うこともあり、痛み止めが効きにくいのも特徴です。稀に、じんましん、呼吸困難、アナフィラキシーショックといった重篤なアレルギー症状を引き起こすこともあります。
注目すべきはこの疼痛の原因です。これまでは虫体が胃壁に入り込もうとすることが原因で疼痛が生じていると考えられてきましたが、現在はアレルギー反応が疼痛の主体と考えられています。
治療方法
アニサキス症が疑われる場合は、速やかに医療機関を受診することが非常に重要です。
主な治療法は、内視鏡(胃カメラ)を用いたアニサキス幼虫の摘出です。胃カメラで患部を直接確認し、胃壁に刺さった幼虫を専用の鉗子(かんし)で取り除きます。この処置により、多くの場合、痛みは劇的に和らぎます。当方の経験では8匹のアニサキス虫体を胃内に認め、摘出した後に症状は速やかに改善を認めた例もあります。
徹底しよう!アニサキス予防策
アニサキス症を過度に恐れる必要はありませんが、正しい知識を持ち、適切な予防策を講じることが、美味しく安全に魚を楽しむための鍵です。スーパーで動くアニサキスを目撃した主婦の「加熱したら大丈夫と言われても、いざあれを見ると買う気はなくなる」という本音のように、たとえ知識があっても、実際の光景は私たちに強い印象を与えます。だからこそ、予防策の徹底が何よりも重要です。
厚生労働省の公式サイトなどでは、以下の予防策が紹介されています。
- より新鮮な魚を選ぶ:鮮度が良いほど、アニサキスが内臓から筋肉へ移動する前に対処できる可能性が高まります。
- 速やかに内臓を取り除く:魚をさばく際は、購入後すぐに内臓を取り除きましょう。内臓を生で食べるのは絶対に避けてください。
- 目視で幼虫を確認・除去する:魚の切り身や刺身にする前に、白い糸状のアニサキス幼虫がいないか、注意深く確認しましょう。体験者の方も、次回から「アニサキスライト」という特殊なライトを使用して万全の目視確認を行うと話されています。
- 適切な加熱または冷凍を行う:
- 加熱:魚の中心部まで70度以上で加熱するか、60度であれば1分以上の加熱でアニサキスは死滅します。スーパーの張り紙にも「加熱すれば大丈夫」という記載があったように、特に生食をしない場合は、しっかりと加熱することが重要です。
- 冷凍:マイナス20度で24時間以上冷凍することで、アニサキスは死滅します。
- 醤油やわさび、酢には効果なし!:よく誤解されがちですが、一般的な食酢、醤油、わさび、塩ではアニサキス幼虫は死滅しません。これらの調味料に頼りすぎるのは危険です。
安全対策で、食欲の秋を満喫!
「アニサキスはいるモノ」という認識は持ちつつも、実際に動くアニサキスを見たらやはり戸惑うのが人間です。しかし、適切な予防策を講じることで、アニサキス症のリスクを大幅に減らし、日本の豊かな魚食文化を安全に楽しむことができます。
もし、生魚を食べた後に激しい腹痛や吐き気などの症状が現れた場合は、「おかしいな」と思ったら自己判断せずに、速やかに消化器内科を受診してください。早期の診断と内視鏡による治療が、つらい症状からの一番の回復への道です。
明石やまだ内科歯科クリニックでは、患者さまの苦痛に配慮した胃カメラ検査で、アニサキス症の診断・治療に迅速に対応いたします。どうぞ安心してご相談ください。