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胸やけ・酸っぱいこみ上げ感…「逆流性食道炎」の症状と原因、治療法を解説

「食後に胸が焼けるように痛い…」
「酸っぱいものや苦いものが、のどまで上がってくる…」
「原因不明の咳がずっと続いている…」

こうした症状は、単なる「食べ過ぎ」や「飲み過ぎ」のせいだけではないかもしれません。近年、「新国民病」と呼ばれるほど患者数が増えている逆流性食道炎のサインである可能性があります。

逆流性食道炎は、治療せずに放置すると生活の質(QOL)を大きく損なうだけでなく、重大な病気につながるリスクもあります。しかし、適切な治療と生活習慣の見直しで、症状は大きく改善できます。お悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

逆流性食道炎とは?

逆流性食道炎とは、強力な酸である胃酸などが食道へ逆流することにより、食道の粘膜がただれたり、潰瘍ができたりする病気です。

胃の粘膜は胃酸から自身を守る機能を持っていますが、食道の粘膜にはその機能がありません。そのため、胃酸の逆流が繰り返し起こると、食道はダメージを受けて炎症を起こしてしまうのです。

 

「胃食道逆流症(GERD)」との違い

「胃食道逆流症(GERD)」は、胃酸の逆流によって起こる症状や病態の総称です。その中で、胃カメラ検査で実際に食道に炎症が確認されたものを「逆流性食道炎」と呼びます。一方で、胸やけなどの症状はあるのに、胃カメラでは炎症が見られない場合は「非びらん性胃食道逆流症(NERD)」と診断されます。

主な症状

症状の現れ方は人それぞれですが、主に以下のようなものがあります。

 

典型的な症状

  • 胸やけ: みぞおちから胸にかけて、焼けるような、ヒリヒリするような不快感。
  • 呑酸(どんさん): 酸っぱい液体や苦い液体が、のどや口までこみ上げてくる感じ。

 

食道以外の症状

  • のどの違和感・痛み、声のかすれ
  • 原因不明の慢性的な咳、喘息のような症状
  • 胸の痛み(心臓の病気と間違われることもあります)
  • ゲップがよく出る

逆流性食道炎の主な原因

逆流性食道炎は、主に以下の3つの要因が重なることで発症しやすくなります。

 

  1. 胃と食道のつなぎ目の緩み

食道と胃の境目には、胃酸の逆流を防ぐ「下部食道括約筋」という筋肉があります。この筋肉が、加齢や、胃の一部が胸部にはみ出す「食道裂孔ヘルニア」などによって緩むと、逆流が起こりやすくなります。

 

  1. お腹への圧力(腹圧の上昇)

肥満や姿勢の悪さ(猫背)、ベルトなどによる服装の締め付け、便秘などでお腹に圧力がかかると、胃が圧迫されて内容物が食道へ押し出されやすくなります。

 

  1. 胃酸の増加・食事内容

脂肪の多い食事、タンパク質の多い食事、アルコール、喫煙などは、胃酸の分泌を増やしたり、下部食道括約筋を緩めたりする作用があり、逆流の大きな原因となります。

【ご存知ですか?】ピロリ菌と逆流性食道炎の意外な関係

近年、衛生環境の向上によりピロリ菌の感染者が減少しました。その結果、胃が健康で胃酸の分泌が活発な人が増え、逆流性食道炎の患者様が増加傾向にあると言われています。また、ピロリ菌の除菌治療後に胃酸の分泌が正常化し、逆流性食道炎の症状が現れることもあります。

診断:なぜ胃カメラ検査が重要か?

逆流性食道炎の診断と治療方針の決定には、胃カメラ(内視鏡検査)が不可欠です。胃カメラによって食道の粘膜を直接観察し、炎症の有無や範囲、そして重症度(LA分類)を正確に評価します。

また、逆流性食道炎を放置した場合に起こりうる、以下のような合併症の早期発見のためにも、定期的な検査は非常に重要です。

 

放置すると危険な合併症

  • バレット食道: 長期間、食道が胃酸にさらされることで、食道の粘膜が胃の粘膜に似た組織に変化してしまう状態です。食道がん(バレット腺がん)の発生リスクを高めることが知られています。
  • 睡眠障害: 夜間に横になると胃酸が逆流しやすくなるため、胸やけや咳で目が覚めるなど、睡眠の質が著しく低下することがあります。当方の経験では、壁に寄り掛かった状態でないと胃酸逆流症状が出現して睡眠が出来ないという重症の方もおられました。

治療について

治療は、薬物療法と生活習慣の改善を両輪で行うことが基本です。

 

  1. 薬物療法

胃酸の分泌を強力に抑えるお薬(プロトンポンプ阻害薬:PPIなど)が治療の中心となります。ほとんどの場合、お薬を服用することで症状は速やかに改善します。その他、食道粘膜を保護する薬や、消化管の動きを整える薬を併用することもあります。

 

  1. 生活習慣の改善

 

お薬で症状が良くなっても、根本的な原因である生活習慣を見直さなければ、再発を繰り返してしまいます。以下の点に注意しましょう。

  • 食事: 腹八分目を心がけ、ゆっくりよく噛んで食べる。脂肪の多い食事、刺激物、アルコール、炭酸飲料を控える。
  • 食後の行動: 食後すぐに横にならない(最低2~3時間は座るか立った姿勢で過ごす)。
  • 姿勢・服装: 猫背や前かがみの姿勢を避け、お腹を締め付ける服装をしない。肥満気味の方は減量を心がける。
  • 睡眠時: 枕やクッションで上半身を少し高くして寝ると、夜間の逆流を防ぎやすくなります。
  • 禁煙: 喫煙は逆流性食道炎の大きな悪化要因です。禁煙を強く推奨します。

生活の質(QOL)を取り戻すために

逆流性食道炎は、放置すると狭心症よりも生活の質(QOL)を低下させるという報告もあります。しかし、適切な治療とセルフケアによって、そのつらい症状から解放され、快適な毎日を取り戻すことが可能です。

胸やけや呑酸などの症状でお悩みの方は、決して我慢せず、お気軽に当院の消化器内科にご相談ください。

明石やまだ内科歯科クリニック