そのげっぷ、大丈夫? 胃腸からのサインかもしれません
食事のあとや、ふとした時に出る「げっぷ」。
誰にでも起こる自然な生理現象ですが、「最近げっぷがよく出るな」「げっぷ以外にも胃の調子が悪い気がする…」と感じていませんか?
実は、頻繁なげっぷは、胃や食道のトラブルを知らせるサインかもしれません。
「たかがげっぷ」と軽く考えず、この記事をきっかけにご自身の体と向き合ってみましょう。
そもそも、げっぷはなぜ出るの?
げっぷの正体は、胃の中に溜まった空気です。食事や会話の際に、私たちは食べ物だけでなく空気も一緒に飲み込んでいます。
胃と食道の間には「下部食道括約筋(かぶしょくどうかつやくきん)」という筋肉があり、普段はフタのように胃の内容物や空気が逆流するのを防いでいます。しかし、胃の中の空気の量が増えて圧力が上がると、この筋肉が一時的にゆるみ、空気が口から外に排出されます。これがげっぷの仕組みです。
要注意!げっぷが頻繁に出る主な原因
一時的なげっぷであれば心配ありませんが、頻繁に起こる場合は、次のような原因が考えられます。
-
生活習慣によるもの
無意識の行動が、げっぷの原因になっていることがあります。
- 早食いやよく噛まない: 食べ物と一緒に空気をたくさん飲み込んでしまいます。
- 炭酸飲料の飲み過ぎ: 胃の中でガスが発生し、げっぷが出やすくなります。
- ストレス: 緊張や不安を感じると、無意識に唾液や空気を飲み込む回数が増える「呑気症(どんきしょう)・空気嚥下症(くうきえんげしょう)」という状態になることがあります。お腹の張りも伴うのが特徴です。
- 姿勢の悪さ: 猫背などの前かがみの姿勢は、胃を圧迫してげっぷを誘発しやすくなります。
-
病気が隠れている可能性
げっぷは、消化器系の病気の症状として現れることもあります。
- 逆流性食道炎: 胃酸が食道に逆流してしまう病気です。げっぷの他に、胸やけや呑酸(のんどんさん:酸っぱいものが上がってくる感じ)といった症状が特徴です。
- 慢性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍: 胃の機能が低下し、食べ物が胃に長く留まることでガスが発生しやすくなります。
- 食道裂孔ヘルニア: 胃の一部が横隔膜の上にはみ出してしまう状態で、胃酸が逆流しやすくなります。最近ではARMA(内視鏡的噴門部粘膜焼灼術)やARMS(内視鏡的逆流防止粘膜切除術)といった内視鏡での治療も広まってきています。
- 便秘: 腸内にガスが溜まると、胃の圧迫に繋がりげップが出やすくなることがあります。
「げっぷは胃がんの初期症状?」と心配される方もいらっしゃいますが、基本的にげっぷの症状だけで胃がんが発見されることは稀です。しかし、胃の不調が続く場合は、他の病気の可能性も含めて一度検査を受けることが大切です。
げっぷを減らすためのセルフケア
まずは、生活習慣を見直すことから始めましょう。
- 食事はゆっくり、よく噛んで食べる
- 炭酸飲料や香辛料などの刺激物を控える
- 食後すぐに横にならない(最低でも30分は座った姿勢を保つ)
- ストレスを溜めず、リラックスできる時間を作る
- 猫背にならないよう、良い姿勢を心がける
げっぷが出そうで苦しい時は、一度背筋を伸ばして胸を張るような姿勢をとってみると、楽になることがあります。個人的には早食いの方でげっぷが多いと訴える方は非常に多い印象を受けます。『よく噛む』という行為は単純ですが、非常に重要であると考えます。
こんな症状があれば、当院にご相談ください
セルフケアを試しても改善しない場合や、げっぷ以外に下記の症状がある場合は、お早めに医療機関を受診しましょう。
- 胃のもたれ、胃の痛み
- 胸やけがする
- 吐き気がする
- お腹が張って苦しい
- 横になると気分が悪くなる
これらの症状は、胃や食道が助けを求めているサインです。
当院では、患者様のお話を丁寧にお伺いし、必要に応じて胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)などで原因を詳しく調べます。胃カメラ検査は、食道や胃の粘膜の状態を直接観察できるため、病気の早期発見に非常に有効です。
「げっぷくらいで病院に行くのは…」とためらわずに、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。健康的な毎日を送るために、一緒に原因を探り、解決していきましょう。