【最新データ】「がん5年生存率」が教えてくれること。胃・大腸がんは“早く見つければ”怖くない理由

こんにちは。
JR明石駅より徒歩5分、明石やまだ内科歯科クリニック院長の山田恭孝です。
先日、厚生労働省よりがんに関する非常に重要な最新データが公表されました。
「平成30年(2018年)全国がん登録 5年生存率報告」です。
これは、2018年にがんと診断された方のデータを追跡し、「5年後にどれくらいの方が生存しているか」を集計したものです。
「がん」という言葉には、どうしても恐怖がつきまといます。しかし、最新のデータを正しく読み解くと、「治りやすいがん」と「見つけにくく手強いがん」の差、そして「早期発見の圧倒的なメリット」が明確に見えてきます。
今回は、この最新データを紐解きながら、私たちが「今、何をするべきか」についてお話しします。
1.最新データで見る「がん生存率」の格差

今回公表されたデータ(男女計・5年純生存率)を見ると、がんができる場所によって、生存率に大きな開きがあることがわかります。
【生存率が高いがん(90%前後)】
早期発見の仕組みや治療法が進んでいるがんです。
- 甲状腺: 92.5%
- 前立腺: 92.5%
- 皮膚: 89.3%
- 乳房(女性): 88.4%
【消化器系のがん(60〜70%前後)】
日本人がなりやすい「胃がん」や「大腸がん」はこのあたりに位置します。
- 大腸(結腸・直腸): 68.0%
- 胃: 64.4%
- 食道: 48.3%
【早期発見が難しいがん(40%未満)】
お腹の奥深くにあり、症状が出にくいため、見つかった時には進行していることが多い「難治がん」です。
- 肝臓・肝内胆管: 34.4%
- 胆のう・胆管: 24.1%
- 膵臓(すいぞう): 13.5%
2.「胃がん・大腸がん」の数字のトリック

ここで注目していただきたいのは、私たちに身近な「胃がん(64.4%)」と「大腸がん(68.0%)」です。
「6割しか助からないのか…」と不安に思われたかもしれません。
しかし、この数字はあくまで「進行してから見つかった人も含めた平均値」です。これを「見つかった時の進行度(ステージ)」別に分解すると、まったく違う景色が見えてきます。
【胃がんの5年生存率】
- 早期(限局): 90.2%
- 進行(遠隔転移あり): 6.8%
【大腸がんの5年生存率】
- 早期(限局): 90.7%
- 進行(遠隔転移あり): 17.1%
いかがでしょうか。
胃がんも大腸がんも、転移がない「早期」の段階で見つけさえすれば、90%以上の方が助かる病気なのです。
逆に言えば、症状が出てから受診し、進行した状態で見つかると、生存率は一気に10%〜20%以下にまで下がってしまいます。
この「天と地ほどの差」を分けるのが、定期的な内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)なのです。
3.最も手強い「膵臓・胆のう」にどう対抗するか
一方で、今回のデータでも最も厳しい数字が出たのが、「膵臓(13.5%)」や「胆のう・胆管(24.1%)」です。
これらは「沈黙の臓器」と呼ばれ、初期症状がほとんどありません。一般的な健康診断やバリウム検査、腹部超音波検査(エコー検査)では発見が難しく、黄疸や腹痛が出た時にはすでに進行しているケースが多いのが現状です。
当院の「超音波内視鏡(EUS)」という武器

では、どうすれば良いのでしょうか。
そこで重要になるのが、当院が力を入れている「超音波内視鏡(EUS)」です。
これは、胃カメラの先端に超音波装置がついた特殊な検査機器です。
体の表面からあてるエコーとは違い、胃や十二指腸の「すぐ隣」から膵臓や胆管を観察できるため、CTやMRIでも見つけにくい1cm以下の小さながんを発見できる可能性があります。
明石市内のクリニックで採用されているのは当院のみ、兵庫県下でも3医院程度とわずかです。通常の内視鏡よりも習熟が難しく、専門性が高いということが理由です。
「身内に膵臓がんの人がいる」
「糖尿病が急に悪化した」
「背中がなんとなく痛い」
このようなサインがある方は、決して見逃さず、専門的な検査を受けることが命を守る鍵となります。
まとめ:あなたの「確率」は変えられます

今回のニュースを見て、「がんは怖い」だけで終わらせないでください。
データが教えてくれる教訓はシンプルです。
- 胃・大腸などの「見つけやすいがん」は、カメラで確実に早期発見して治す。
- 膵臓・胆のうなどの「見えにくいがん」は、専門的な検査でリスク管理をする。
「生存率」という数字は、あくまで過去の統計です。
あなた自身の未来の生存率は、今の行動(検診)によって、100%に近づけることができます。
当院では、鎮静剤を使った苦痛の少ない内視鏡検査を行っています。
40歳を過ぎたら、ぜひ一度、ご自身の体のメンテナンスにいらしてください。