「昔は赤くなったけど鍛えて強くなった」が一番危険!食道がんリスクを激増させる”隠れフラッシャー”の真実

「お酒、昔はすぐに顔が赤くなったけど、付き合いで飲んでいるうちに強くなったよ」
「今はワイン1本くらいなら平気かな」
もし、あなたやご家族がこのようなことを言っていたら、今すぐそのグラスを置いて話を聞いてください。
実は、食道がんのリスクが最も高いのは、最初から全く飲めない人でも、顔色一つ変えずに飲める酒豪でもありません。
「元々は赤くなる体質(フラッシャー)なのに、無理をして飲めるようになってしまった人」なのです。
今回は、お酒と食道がんの恐ろしい関係と、命を守るための検査について、専門医の立場からお伝えさせていただきます。
1.「鍛えて強くなった」は幻想。体の中では…
日本人のおよそ半数は、お酒を飲むと顔が赤くなる「フラッシャー」と呼ばれる体質です。
これは、アルコールの有害物質(アセトアルデヒド)を分解する酵素の働きが、生まれつき弱いことを意味します。
「練習したら飲めるようになった」という方がいますが、これは酵素の働きが良くなったわけではありません。脳がアルコールに麻痺して慣れてしまっただけで、食道や肝臓では有害物質の分解が追いつかず、細胞が傷つけられ続けているのです。
このタイプの人が飲酒と喫煙を続けると、食道がんのリスクが非常に高くなることが報告されています。
2.食道がんの手術は「神様のいたずら」

「がんになっても手術すればいい」と軽く考えてはいけません。
食道は心臓や肺の奥深く、背骨の手前という非常に手術しにくい場所にあります。進行がんの手術となれば、胸・お腹・首の3箇所を切開する大手術になり、患者さんの体には大きな負担がかかります。
しかし、これは「進行がん」の話です。
早期(粘膜の浅い部分)で見つかれば、お腹を一切切らずに内視鏡でがんを剥がし取る治療で完治が可能です。早期発見さえできれば、怖い病気ではないのです。
3.リスクを高める「熱い食べ物」と「タバコ」
お酒以外にも、食道をいじめる要因があります。
タバコ

お酒とタバコのセットは、発がんリスクを倍増ではなく「掛け算」で高めます。禁煙は食道がん予防の基本です。
熱い食べ物

熱々のお粥や飲み物など、フウフウ言いながら食べる食事は、食道の粘膜に火傷を負わせ、がんの引き金になります。少し冷ましてから食べる習慣をつけましょう。
「赤くなる体質」×「飲酒」×「喫煙」×「熱い食事」
この条件が揃っている方は、特に注意が必要です。
4.あなたの命を守る「最新の高精度内視鏡」

食道がんは初期症状がほとんどありません。「飲み込みにくい」と感じた時には、すでに進行していることが多いのです。
また、会社の健診で行う「バリウム検査(胃部X線検査)」では、早期の食道がんは発見が困難です。
そこで強くおすすめするのが、「特殊光観察」機能を搭載した内視鏡検査(胃カメラ)です。
当院では、富士フイルム(FUJIFILM)社の最新の内視鏡システムを導入しています。
このカメラは、特殊な光(レーザー光など)を粘膜に当てることで、通常光では見えにくい微細な血管や粘膜の模様を強調して映し出すことができます。これにより、平坦でわかりにくい初期の食道がんや、前がん病変を浮き上がらせて発見することが可能になります。
まとめ:今すぐできるセルフチェック

以下の質問に一つでも当てはまる方は、食道がんの危険信号が点滅しています。
- お酒を飲み始めた頃(若い頃)、コップ1杯のビールで顔が赤くなりましたか?
- 今は「鍛えて」飲めるようになっていますか?
- タバコを吸いますか?
- 熱い食べ物を冷まさずに食べる癖がありますか?
特に1と2に該当する方は、年に1回、必ず胃カメラ検査を受けてください。

当院の内視鏡医は消化器内視鏡専門医・指導医であり、1万件以上の検査経験があります。
「カメラは苦しい」というイメージをお持ちの方には、鎮静剤を使って眠っているような状態で検査を行うことも可能です。
「自分は大丈夫」という過信が、一番の敵です。美味しい食事とお酒を長く楽しむためにも、まずは自分の体のリスクを正しく知ることから始めましょう。