ブログ

胃カメラで「異常なし」なのに胃が痛い…その不調、機能性ディスペプシア(FD)かもしれません

「長年、胃の痛みやもたれに悩んでいる…」
「食事をすると、すぐにお腹がいっぱいになって苦しい…」
「でも、胃カメラ検査を受けても『異常ありません』『きれいな胃ですね』と言われる…」

 

このような、つらい胃の症状があるにもかかわらず、検査ではっきりとした原因が見つからない。それは機能性ディスペプシア(FD:Functional Dyspepsia)という病気かもしれません。

かつては「神経性胃炎」や「ストレス性胃炎」などと診断されていたこの状態は、決して気のせいではなく、治療によって改善が期待できる病気です。日本人の10人に1人がこの病気に悩んでいるとも言われています。つらい症状をあきらめず、ぜひ一度ご相談ください。

機能性ディスペプシア(FD)とは?

機能性ディスペプシア(FD)とは、胃潰瘍や胃がんのような目に見える病気(器質的疾患)がないにもかかわらず、胃の痛みや胃もたれなどの、みぞおちを中心としたつらい症状が慢性的に続く病気です。

これは、胃の構造そのものではなく、「胃の働き(機能)」に問題が生じている状態です。具体的には、食べたものを溜めて十二指腸へ送り出す胃の運動機能や、刺激を感じる知覚機能などに異常が起きていると考えられています。

こんな症状はありませんか? FDの主な症状

FDの診断では、主に以下の4つの症状が重要となります。これらのうち、一つでも慢性的に(3ヶ月以上)続いている場合はFDの可能性があります。

  • 食後のもたれ感(胃もたれ): 食後に、いつまでも食べ物が胃の中に残っているような不快感。
  • 早期満腹感: 食事を始めてすぐに、お腹がいっぱいになってしまい、それ以上食べられなくなる。
  • みぞおちの痛み(心窩部痛): みぞおち周辺がシクシクと痛む。
  • みぞおちの焼ける感じ(心窩部灼熱感): みぞおちが熱く、焼けるように感じる。

症状の現れ方によって、食後の症状が中心の「食後愁訴症候群(PDS)」と、みぞおちの痛みが中心の「心窩部痛症候群(EPS)」に分類されます。

機能性ディスペプシア(FD)の主な原因

FDの原因は一つではなく、複数の要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。

  • 胃の運動機能の異常: 食べたものをスムーズに十二指腸へ送り出せない、または胃が十分に膨らまない。
  • 胃の知覚過敏: 健康な人なら感じないような、わずかな胃酸や食物の刺激を「痛み」として感じてしまう。
  • ストレス・脳腸相関: 不安やストレスが脳を介して胃の働きに直接影響を与え、症状を引き起こします(脳腸相関)。
  • ピロリ菌感染: ピロリ菌に感染していると胃の運動機能が低下することがあり、除菌によって症状が改善する場合があります。
  • 生活習慣の乱れ: 不規則な食事、脂肪の多い食事、アルコール、喫煙なども原因となりえます。

診断:なぜ胃カメラ検査が重要か?

FDの診断で最も大切なのは、「症状の原因となる、目に見える病気がないことを確認する」ことです。胃の不快な症状は、胃がんや胃潰瘍、逆流性食道炎など、放置すると危険な病気でも起こりえます。

そのため、FDの診断には胃カメラ(内視鏡検査)が不可欠です。胃の粘膜を直接観察し、がんや潰瘍などがないことを確認することで、初めてFDの可能性を考えることができます。「検査で異常なし」という結果は、ゴールではなく、正しい診断と治療へのスタートラインなのです。

あわせて、治療方針の決定のためにピロリ菌の検査も行います。

治療について

FDの治療では、生活習慣の改善を基本としながら、症状に合わせて薬物療法を組み合わせて行います。

 

  1. 生活習慣・食習慣の改善

治療の土台となる部分です。すぐに実践できることも多くあります。

  • 食事: 1回の食事量を減らし、回数を増やす。よく噛んでゆっくり食べる。脂肪の多い食事や香辛料、アルコール、カフェインなどを避ける。
  • 睡眠・休息: 規則正しい生活を心がけ、十分な睡眠時間を確保する。
  • ストレス管理: 「朝は決まった時間に起きる」「軽い運動(ウォーキングなど)をする」「趣味やリラックスできる時間を作る」など、ストレスと上手に付き合う工夫を見つけましょう。

 

  1. 薬物療法

患者様一人ひとりの症状に合わせて、最適なお薬を選択します。

  • 胃酸の分泌を抑える薬(PCAB、プロトンポンプ阻害薬など): 胃酸による刺激を和らげます。
  • 胃の動きを整える薬(アコチアミドなど): 食後のもたれ感や早期満腹感を改善します。
  • 漢方薬(六君子湯など): 胃の働きを助け、食欲不振などを改善します。
  • その他: 症状に応じて、不安を和らげる薬や、胃の知覚過敏を抑える薬を使用することもあります。

 

  1. ピロリ菌の除菌治療

検査でピロリ菌の感染が確認された場合は、除菌治療を行います。除菌によって胃の運動機能が改善し、長期的に症状が良くなることが期待できます。

つらい胃の症状、あきらめないでください

「検査で異常がないのに、なぜこんなにつらいのだろう…」と、誰にも理解されずに悩んでいる方が多いのが、機能性ディスペプシアという病気です。しかし、それは決して「気のせい」ではありません。

適切な診断と治療を行えば、症状は改善できます。長引く胃の不調でお悩みの方は、ぜひ一度、当院の消化器内科にご相談ください。

明石やまだ内科歯科クリニック