膵がん(膵臓がん)の早期発見は可能か?

専門医が解説する超音波内視鏡(EUS)の重要性
「膵がんは見つかりにくく、治りにくい」
多くの方が、膵がんに対してこのような不安なイメージをお持ちかもしれません。事実、膵臓は体の奥深くにあり、初期には症状がほとんど出ないため、早期発見が極めて難しいがんの代表格です。
しかし、だからこそ私たちは諦めるべきではないと考えています。近年の医療技術の進歩、特に超音波内視鏡(EUS)は、膵がんの早期発見に大きな可能性をもたらしました。
このページでは、膵がんについての正しい知識をお伝えするとともに、なぜ早期発見が重要なのか、そして当院が提供する「膵臓学会指導医による超音波内視鏡(EUS)検査」がいかに有効であるかをご説明します。気になる症状やリスクのある方は、ぜひ最後までお読みください。
膵がんとは?-「沈黙の臓器」に忍び寄る病

膵臓は、胃の裏側にある長さ20cmほどの臓器で、食物を消化する膵液と、血糖値を調節するインスリンなどのホルモンを作る、生命維持に欠かせない重要な役割を担っています。
膵がんの約9割は、この膵液が通る道である「膵管」から発生する「膵管がん(腺がん)」です。膵がんには、以下のような厄介な特徴があります。
- 症状が出にくい: 初期段階では特徴的な症状がほぼなく、静かに進行します。
- 進行が速く、転移しやすい: がん細胞が小さいうちから、周囲のリンパ節や肝臓、腹膜(お腹の中に散らばる)などに転移しやすい性質を持っています。
これらの特徴から、症状(腹痛、黄疸、体重減少など)が出て発見されたときには、すでに進行しているケースが多く、5年生存率が約12%と、すべてのがんの中で最も治療が難しいがんの一つとされています。だからこそ、症状が出る前の「早期発見」が何よりも重要なのです。
このような症状・リスクはありませんか?
膵がんに特有の初期症状はありませんが、進行すると以下のようなサインが現れることがあります。また、特定の病気や生活習慣は、膵がんのリスクを高めることが分かっています。
膵がんのサインとなりうる症状
- 腹痛・背中の痛み: みぞおちや背中に、鈍く重い痛みが続く。
- 黄疸(おうだん): 皮膚や白目が黄色くなる、尿の色が濃くなる、便が白っぽくなる。
- 急な体重減少: 明確な理由がないのに、半年で5%以上体重が減る。
- 食欲不振、胃の不快感、お腹が張る感じ。
- 急な糖尿病の発症・悪化: これまで問題なかった血糖値が、急にコントロール不良になる。
膵がんのリスクが高い方
- 家族歴: ご家族・ご親族に膵がんになった方がいる(特に2人以上いる場合は要注意)。
- 持病: 糖尿病、慢性膵炎、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)や膵のう胞と診断されたことがある。
- 生活習慣: 喫煙(最大のリスク因子)、肥満、多量の飲酒習慣。
これらの症状やリスクに一つでも心当たりがある方は、決して放置せず、一度専門医による精密検査を検討してください。
なぜ早期発見が難しいのか?-当院のEUSがその壁を破る

膵臓は胃や腸の裏側、体の深部にあるため、通常の腹部エコー検査では詳細な観察が困難です。また、CTやMRIでも、1cm以下の小さながんを描出することは容易ではありません。
この「発見の壁」を打ち破るのが、当院が導入している超音波内視鏡(EUS)です。
超音波内視鏡(EUS)とは?
先端に高性能な超音波(エコー)装置がついた特殊な内視鏡(胃カメラ)です。口から挿入し、胃や十二指腸の内部から、壁を隔ててすぐ隣にある膵臓を至近距離で観察します。
EUSの圧倒的なメリット
- 高精度な画像: 体外からのエコーと違い、骨や脂肪、腸管ガスに邪魔されないため、膵臓の微細な構造まで鮮明に映し出せます。
- 小さな病変の発見: CTやMRIでは発見が難しい1cm以下の早期膵がんの検出も可能です。
- 安全な検査: 体への負担が少なく、鎮静剤を使用することで苦痛なく検査を受けていただけます。
このEUSは、高度な技術と経験が求められるため、全国でも導入しているクリニックはごく少数です。当院では、日本膵臓学会の認定指導医であり、1,500件以上のEUSを経験してきた院長が、すべての検査において責任をもって行います。
診断から治療への流れ

当院では、膵がんが疑われる方に対し、以下の流れで的確な診断を行います。
当院での診断プロセス
- 問診・診察・初期検査: 症状やリスク因子を詳しくお伺いし、血液検査(腫瘍マーカー等)や腹部エコー検査を行います。
- 精密検査の計画: 初期検査で異常が疑われた場合、CT、MRI(MRCP)、そして最も重要な超音波内視鏡(EUS)を計画します。
- EUSによる最終確認: EUSで膵臓を詳細に観察し、小さな病変も見逃しません。必要に応じて、EUSを使いながら組織を採取するEUS-FNA(穿刺吸引生検)で確定診断につなげます(EUS-FNAは連携する高度医療機関へご紹介します)。
診断の結果、治療が必要となった場合は、神戸大学医学部附属病院や明石市民病院、明かり医療センター、北播磨総合医療センターをはじめとする、最適な高度医療機関へ速やかにご紹介し、スムーズな治療移行をサポートします。
膵がんの治療について
膵がんの治療は、がんの進行度(ステージ)に応じて、手術、薬物療法(抗がん剤)、放射線治療を組み合わせて行われます。
手術(外科治療)
がんが膵臓やその周辺に限局している場合に行える、唯一の根治を目指せる治療法です。近年では、手術の前に抗がん剤治療(術前補助化学療法)を行い、手術成績を向上させる試みが標準的になりつつあります。
薬物療法・放射線治療
がんが進行し手術が難しい場合や、手術後の再発予防のために行われます。
治療の選択肢は、早期であるほど広がります。私たちの使命は、この根治を目指せる「手術」という選択肢を患者様が選べる段階で、がんを発見することにあります。
諦めずに、まずは専門医にご相談ください

膵がんは、確かに怖い病気です。しかし、「見つかりにくい」からと諦める必要はもうありません。
「何となくお腹の調子が悪い」「背中が痛む」「急に血糖値が悪化した」そして何より「家族に膵がんの人がいる」「膵のう胞を指摘された」…
その小さなサインやリスクを見逃さず、ぜひ一度、当院の膵臓専門外来にご相談ください。日本膵臓学会指導医による超音波内視鏡(EUS)という確かな目で、あなたの不安に寄り添い、健康な未来への道を共に探します。