「魚の骨が喉に刺さったかも?」そんな時、どうする?やってはいけないNG行動と正しい対処法
美味しい魚料理を楽しんだ後、喉にチクチクとした違和感を覚えた経験はありませんか?「もしかして魚の骨が刺さったかも?」と不安になりますよね。
魚の骨が喉に刺さることは決して珍しいことではありませんが、間違った対処をすると症状が悪化する危険があります。今回は、魚の骨が喉に刺さった時の正しい対処法と、医療機関を受診すべき目安についてお伝えします。
喉の違和感、本当に魚の骨?
魚の骨が喉に刺さると、一般的に以下のような症状が現れます。
- 喉の特定の部分にチクチク、ズキズキとした痛みがある
- 唾を飲み込むと痛みが強くなる
- 何かが引っかかっているような異物感がある
喉の奥や見えにくい場所に刺さっていることが多く、鏡で見ても確認できないことがほとんどです。
放置しないで!骨が食道や胃まで進むリスク
「小さな骨だし、そのうち取れるだろう」と軽く考えるのは危険です。小さな骨は自然に胃へ流れることも多いですが、太い骨や鋭く尖った骨が喉の奥や食道に深く刺さってしまうと、以下のような問題を引き起こす可能性があります。
- 炎症や出血: 刺さった場所が傷つき、食道炎や潰瘍の原因となります。
- 重篤な感染症: 非常に稀ですが、食道に穴が開き、周囲に炎症が広がると縦隔炎や腹膜炎といった命に関わる重篤な感染症を引き起こすこともあります。
特に、鯛(タイ)の骨は太くて硬いのが特徴で、刺さると傷口から細菌が入り込み、感染症を起こすリスクが高いため注意が必要です。
「たかが魚の骨」と軽視せず、症状が続く場合は専門医に相談することが大切です。
魚の骨が刺さった時のNG行動
昔から民間療法として信じられてきた方法の中には、かえって症状を悪化させる危険なものがあります。
絶対にやってはいけないこと
- ご飯やパンを丸のみする: 骨をさらに深く押し込んでしまい、喉や食道を大きく傷つける可能性があります。
- 自分で指やピンセットで取ろうとする: 粘膜を傷つけて出血させたり、骨を奥に押し込んだりする危険があります。
- 「そのうち治るだろう」と放置する: 痛みを我慢して放置すると、炎症や感染のリスクが高まります。
魚の種類と国別の違い
多数の魚骨の穿孔例が報告されていますが、日本では特に鯛や鮭、鯖、サンマ、鰯などといった日頃口にする機会が多い魚の頻度が多いとされています。これらの種類の魚を食べる際は、少しだけ注意してもよいのかもしれません。
興味深いことに、アメリカでは魚骨の穿孔よりもチキンの穿孔が多く報告されています。これは日本人とアメリカ人の食文化の違いが出たものと考えられます。
病院に行くべきタイミングと当院での処置
ご自身でできる応急処置は、優しくうがいをしたり、唾を飲み込んでみたりすることに留めてください。これらの方法で改善せず、以下のような症状が続く場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
すぐに受診すべきサイン
- 痛みが強い、我慢できない
- 一晩経っても違和感が取れない、または悪化している
- 首が腫れてきている、発熱を伴う
- 口から血が出ている、または血の味がする
当院では、患者さんの状態に合わせて適切な処置を行います。
胃カメラ(上部消化管内視鏡検査): 骨が食道や胃まで進んだ可能性がある場合、胃カメラで内部を直接確認し、骨を回収します。
当院では、処置の際にも可能な限り鎮静剤を使用し、患者さんの負担を減らすよう努めています。
「こんなことで病院に行っていいのかな?」とためらわず、少しでも不安を感じたらお気軽にご相談ください。早期の処置が、その後の合併症を防ぐ最も重要なカギとなります。